「母の面影を求めた捜査(たび)の終着」祈りの幕が下りる時 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
母の面影を求めた捜査(たび)の終着
"新参者(劇場版)" シリーズ第2作。
レンタルDVDで鑑賞。
原作は既読。
原作の加賀恭一郎シリーズは、「赤い指」以降、それまでの本格ミステリーや実験作的作風から一変し、加賀のパーソナルな面に踏み込むようになり、人間ドラマが強化されました。
「新参者」から始まった日本橋署編において様々な事件を解決していく内、事件に関わった人々の人間模様や秘められた想いを垣間見、父親との確執など、今まで避けて来た自身の家族とも向き合わざるを得なくなり、加賀の内面に少しずつ変化が起こっていくと云う部分に読み応えを感じていました。
原作の人気に応える形で連続ドラマが始まり、2本のTVスペシャルの放送、「麒麟の翼」の映画化などファンとしては嬉しい展開でした。そして完結編となる本作において、原作シリーズ第1作「卒業 雪月花殺人ゲーム」から触れられていた、加賀の蒸発した母親の物語が語られました。
そんなわけで、今回もめちゃくちゃ泣けました。
映像になると、より物語の悲惨さが強調されました。
犯人が背負った宿命の壮絶さに、やるせない想いを抱きました。苦難を共にしたことによって、より強固なものとなった父娘の絆。その強い気持ちの果ての結末に心震えました。
加賀が捜査一課への転属を固辞し日本橋に居続けた理由と、自分の元を去った母親の抱いていた想いも明かされました。
何十年越しに知った母の真実の愛。その時加賀の胸に去来したものを想像したら、またまた涙が止まりませんでした。
[余談1]
原作では、原発作業員の実態がもっと前面に押し出されていたような気がしましたが、タイムリーかつシビアな内容のためか本作では軽く触れられる程度でした。それがもっと事件の悲惨さを物語る要素だっただけに、少し残念でした。
[余談2]
原作は東野版「砂の器」とも評されていましたが、本作では日本映画史上の名作と名高い同作映画版のオマージュ・シーンがそこかしこに散りばめられていました。
松宮刑事たちが初動捜査で彦根を訪れるシーンでは、駅舎と刑事たちを映すカメラ・アングルや、捜査の経過を字幕で説明するなど、そこかしこにオマージュが見て取れました。
ラスト近くにも同作のクライマックスを彩った回想シーンを想起させる場面があり、涙を禁じ得ませんでした。
[以降の鑑賞記録]
2024/06/16:Amazon Prime Video
※修正(2024/05/10)
仰ること全てに共感致します。とても悲しい物語ですが、どんな形であれ、そこにある愛だけは誰にも否定出来ない聖域であり、人とは誰かの愛に包まれている生き物なのだと実感させられました。
④
余談の原発作業員。勝手な事書きますが、
7,8年ぐらい前の寝屋川の事件。
犯人が、原発作業員お一人と同行していた事。
作中にもあるように簡単に身元証明できる程嫌がられる仕事。
しゅうへいさんがいつも仰るように職業に貴賤はありませんが、罪を犯した人が潜り込みやすい点もあります。同行した人は、犯罪を忌み嫌いました。偏見は✖️。
⓷
加賀さんのお母さんの家出理由。
息子可愛さの家出。
何十年ぶりかでやっとわかり
亡くなってしまった母の
母故の大きな愛を知る、
知ってももういない母。
これもとてつもなく辛いお話。
大泣きされるのよくわかります。
私、全く泣きませんが。
②
なぜ最愛の父を愛娘が絞殺するのか、しなければならなかったのか、焼け死ぬ前に絶命させる為、
父は身体が焼けながら死ぬのは
嫌でたまらなく、しかし、身元不明にする為、2回目3回目でやっとわかり、理由に納得はしたものの絞殺回避できないか、無い知恵絞りましたが、見つけられず、
やはり父のこと思えばこそ、先に
死なせてあげておく娘の気持ちがわかりました。辛い作品でした、
終始辛いお話でした。
しゅうへいさんが、大泣きするのもわかります。私は2回3回観ても泣きませんが。
勝手な思いですが、本作父娘ですが、TVドラマの『火車』を思い出しました。財前直見さんでしたが、借金から逃げる為、別人になったり犯罪犯したり。
どうすれば良かったのか、とばかり考えてしまう作品でした。