劇場公開日 2018年1月27日

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「映画の力。」祈りの幕が下りる時 mg599さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5映画の力。

2018年1月31日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

東野圭吾にとっても加賀恭一郎シリーズの集大成だったが、映画シリーズもその感が強い。

東野圭吾の小説はそれぞれ複雑なプロットなのだが、本作はそこも集大成的である。
加賀(阿部寛)の母親が事件に絡んでいて、そのことが情緒過多といってもいいくらいのミステリーになっている。

アリバイ崩しや密室などの趣向はないが、人がたどってきた道程がそのままミステリーになっている。相当の表現力を要する。

原作を読んだときに、東野版「砂の器」と評したものがあるといったが、映画はもっと「砂の器」寄りである。
冒頭の事件経過をテロップで紹介するあたりはそのままである。

道行きをしなければならなかった理由が、本作は少し弱い気もするが、福澤克雄はてらいもなく道行きをみせていく。映画の力である。
小日向文世と桜田ひよりのパートは、涙なしに見ることはできなかった。

「砂の器」のクラシックの演奏と捜査会議のカットバックに匹敵するシークエンスがあればいうことはないのだが、それは高望みというものであろう。

ドラマ「新参者」からずっと観てきてよかった。

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mg599