劇場公開日 2018年1月27日

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「砂の器を感じた」祈りの幕が下りる時 映写技師さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0砂の器を感じた

2018年1月20日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

悲しい

知的

捜査本部に集う刑事たちの男臭さが似合う映画である。警察手帳を手に持ち、殺された被害者の身辺捜査に始まり、現場に残された痕跡を科学的に調べ捜査に活かす捜査官たち。仮説を立て検証しても犯人に辿り着くことは困難である。その困難を可能にする推理の天才が加賀恭一郎という男である。彼の鋭い眼差しの向こうには常に犯人の顔が見えている。しかし今回の事件は彼が培ったノウハウを集積しても迷宮入り確実と思われた。物語が進むにつれ、昭和の名作『砂の器』野村芳太郎監督を彷彿させる親子の絆、そして決して諦めず推理に推理を重ね証拠を立証する刑事たちの戦いが本作進行と同時に私の頭の中で走馬燈のようにオーバーラップして見えた。現場に残された記号の意味を手探りで引き寄せ、犯人の心の奥底まで潜り解読した時、加賀恭一郎の鋭い刑事の「鷹の目」は犯人を優しく諭す「天使の目」に変わって行く。昭和のバタ臭い匂いを全身から解き放つ超個性的な刑事の事件簿は一旦ここで幕を下します。

映写技師