「かばいきれない」ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)
かばいきれない
大好きなシリーズ。まぁ、ハン・ソロは特に好きなキャラクターでもないし、ハリソン・フォードも特に好きな役者でも何でもない。理由を挙げるなら、スターウォーズオタクだから。見に行かずには居れなかった。
そんな「スターウォーズ」も、もう特別な魔法を私にかけてくれる力は残っていないようだ。私が齢をとり過ぎたか、シリーズが語り疲れたか。明らかに後者だろう。だって、世に魅力的な映画は無くならないし、「こんな方法があったか…」って、感動するほど驚かされることだって、いまだに尽きない。
今回、大きく躓いたスピンオフだが、はっきり言って出来は悪くない。ディズニーが戦略を間違えただけのことだ。作る価値のない映画を作ってしまった。もう、かばいきれない。彼らは、オリンピックを、「毎年やろうよ」「僕たちの王国で」と言いだし、誰よりも上手くハンドリングしているものの、観客の心をつかみそこなってしまった。
毎日、打ち上がっていたら、誰も振り向きもしなくなる花火だ。
内容としては、細かな作り込みも含んで、いい仕事をしている。それだけの事。もちろん、生まれて初めて見た映画が、「ハン・ソロ」で、最高に感動した人だっているはず。そんな程度には魅力的な映画だと思う。
イースター・エッグ(カメオ出演とか、オマージュ演出とか、謎解き的な由来)探しには、楽しい要素が満載だった。きっと、リピーターを喜ばせるためのお約束なのだろう。あえて、ネタバレなので書かないが、超ド級のサプライズ・キャラが登場するし、「ハンが先に撃った!」「悪い予感」「サイコロ」的な小ネタがいっぱい散りばめてある。
映画の内容に踏み込んで注文を付けるとしたら、チューバッカとタッグを組むことになるストーリーが弱すぎること。彼らの絆が、強くなる理由が語られていないこと。ハンの彼女の存在が弱いこと。ハンが登場するまでの、ツカミが弱いこと。映画全体の目的(登場人物が何を得て、何を失うか)が弱いこと。音楽がヒステリックでやかましいこと。など、「お好み」ではないことだらけだった。
さらに、続編作る気満々なのが見え見えで、正編に登場することが約束されているのはハン、チューイ、ランドの3人だけなのに、その他の初登場キャラが生きたままなのは腑に落ちない。残念ながら、他の企画もろとも、この映画も消えていく運命をたどるようだけど。この映画だけのために生み出されて、宙ぶらりんのまま語られることのないキャラクターたちが、記憶からも消え去るのが惜しくてならない。ディズニーの罪作り。
これで、EPIXだけは、死んでも失敗できなくなった。JJの肩に、VIIIとソロの失敗が重くのしかかる。