「超無難だが新サーガよりSWらしい」ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー REXさんの映画レビュー(感想・評価)
超無難だが新サーガよりSWらしい
海外の批評家が言った「聞かれてもいない質問に答えたような映画」。
これ、的を射てます。
良くも悪くも「超無難」。
「ローグ・ワン」のように、(アナキンがベイダーとなったことによる)アナキンを失った我らファンの悲しみが、伝説のオープニングのレイアに収斂していくカタルシスを得られることもなく、かといって「見なくてもいい!」とオールドファンを引き留めるほどの、つまらなさでもない。
肝心の冒険が大したことないんですよね、話が辺境でのアウトローたちの物資の奪い合いなので。でもそれがソロの身の丈に合ってるので、しょうがないともいえる。
最期、タトゥーインでジャバ・ザ・ハットに会う…っていうところで終わりにすれば、興奮したのになぁ!
そしてタトゥーインでルークらしき少年が(台詞ナシで)ファルコンを見上げるとか、サービスショットがあれば、もっと気持ちが盛り上がったかもしれません。
しかし!あの8の惨劇でズタズタにされた我らがスターウォーズの、前向きな明るさ・出会いと別れのせつなさ・スピーディーな冒険活劇というスピリッツはちゃんと呼び戻しています。
エアエンライクはすんなり受け入れられました。あのもっさりヘアーも似合ってる。
インタビューではただハリソン・フォードの真似をすることはなかった、と語ってましたが、いやいや、銃を構える姿やチューイとのやり取りは、なかなかにハリソンを彷彿とさせるものでした。
全体的に、エピソード4が作られた70年代のファッションやヘアスタイルがうまくなじんでます。
鼻につくのは女性ドロイドとお馴染みの自爆。
昨今のフェニミズム運動に阿るような、L3の存在。個性的で独立心旺盛なドロイドは「反乱者たち」にも出てきますが、ドロイドに権利を!なんて鼻白む。ドロイドと人間が上手く掛け合いしてきたSTAR WARSの絶妙なバランスを壊しかねない。
あと、盗賊と思いきや反乱軍だった少女。また女?しかもこんなか弱い女の子が、って、全然説得力ない。
私は女ですけど、辟易しますよ。強くて魅力的な男性も沢山見たいですよ。
強いのはレイアだけで充分です(笑)。
そんでまた、バケットの相棒、ヴァルの自爆。
女性に自爆を演じさせたいのは何かの病気ですかね?ローグ・ワンの感動が薄まるのでもうやめてもらいたい。
さてそろそろ本編しか見てない人がハテナ?となるシーンに言及します。
●ダース・モールが生きていたと知らない人に
キーラが仕えることになるダース・モール。彼はアニメ「クローンウォーズシリーズ」では一度落ちぶれて、オビワンや自分を見捨てたドゥークーや皇帝らに復讐を誓う存在になり、裏社会で暗躍。アニメに出てきた当初はダース・モールは精神を病んでいて、下半身はクモのドロイドと合体してたりと、ひどい有様でした。
そしてアニメ「反乱者たち」ではフォースの強い主人公エズラをたぶらかし、シスの奥義を記したホロクロムを手に入れようとしました。もの凄く色々あって(割愛)、最終的にはタトゥーインでオビワンにしっかりとどめを刺され、「おえに殺されて本望だ」というようなことを呟き死んでいきます。
武田信玄と上杉謙信か。
映画「ソロ」はエピソード4の10年前くらい。「クローン・ウォーズ」は2と3の間、「反乱者たち」は3と4の間でエピソード4の5年前の設定です。
最後、キーラに来いといったダソミアはダースモールの生まれ故郷で、映画「クローンウォーズ」で出てきたドゥークーの新たなパダワン「アサージ・ヴェントレス」もダースモールと同じダソミア出身のアマゾネスです。
ドゥークーはアサージがアナキンらの殺害に失敗し続けたあと、ダースモールの弟をパダワン候補として目をつけ、そいつにアサージを殺させようとするなど、鬼畜ぶりを発揮します。
●オーラ・シング
ランドがバケットに「お前がオーラ・シングを殺したんだろ?みんな困ってたんだ!」
と言ったオーラ・シング。私が好きな女バウンティハンターで、元ジェダイです。
本編ではエピソード1のポッドレースに、高所の崖から眺めている3秒ほどしか映りません。
ジャバ・ザ・ハットの従兄弟ズィロ・ザ・ハットが、パドメ・アミダラの命を狙うため雇ったこともあります。そのときはアナキンのパダワン、アソーカ・タノがアミダラを守ったのでした。
タイフォ隊長に拘束されたあとは、シングの行方はよくわかりません。私が知らないだけかも。
●ソロがウーキー語を話せるわけ
ウーキー族のデューラナが、ハンの育ての親のような存在だったため。
でもこのエピソードは私はじかに見聞きしていません。
●ファルコンはランドのものだった
これは5で、ランドがソロにぶつくさ言ってたので言わずもがなですね。今回、ポーカーのような賭に勝って手に入れた顛末が描かれています。
そりゃあランドはいつもあっさりソロを裏切るわけだし、大嫌いなのもうなずけますよね。
●ハンが先に撃った
4のタトゥーインでのモス・アイズリーの酒場「カンティーナ」で、グリードを先に撃つ場面。ソロは「相手が先に撃ったんだ」と言い訳をしていて、長い間ファンの話の種になっていました。
それなのに、ルーカスはデジタル3D版でグリードに先に撃たせてしまい、大いに反感を買いました(余計なことせんでいいのに・・・)。で、今回は「先に撃った」というスピリッツをどこで身につけたのか、という問いにベケットからの教訓という答えを持ってきたのでした。
アニメ版クローン・ウォーズは非常に細々として映画ではちらっとしか活躍しないジェダイやキャラが生き生きと活躍し、サーガよりも面白い。
個人的には7からのことは無かったことにして、オリジナル・トリロジーとプリクエル・トリロジーと、アニメ版だけ見れば良い。
しかしキーラは一体どうなるのでしょう。「誰もが誰かに仕えている」というのは、至極正論ですし、強い者におもねるのは処世術の一つでしょう。あのままソロと逃げたら二人して永遠に逃げ続けることになるのかもしれない。でも、裏社会からなら、影ながらソロをサポートしていける・・・そんな女心が潜んでいたのかな、と考えるとあの別れの場面はせつないですね。