「誰にも指図されないアウトローの始まりと、酷評されようとも発展させていく新シリーズ」ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
誰にも指図されないアウトローの始まりと、酷評されようとも発展させていく新シリーズ
新たに始まった正史より面白かった『ローグ・ワン』。
それに続くスピンオフ第2弾は、シリーズ屈指の人気のあのキャラ!
ハン・ソローーー。
彼がいかにして我々が知るハン・ソロとなったのか。
彼の知られざる若かりし頃の物語。
生涯の相棒、チューバッカとの出会い。
悪友、ランド・カルリジアンとの経緯。
ギャンブルで彼から手に入れた(奪った?)愛機、ミレニアム・ファルコン。
そのミレニアム・ファルコンで出した銀河最速のスピード。
…などなどなど、付いて回るエピソードだけでもいっぱい。そりゃあ一本の映画になる訳だ。
これまで台詞や裏設定でしか語られなかったハンの秘話が次々語られ、ワクワクは尽きない。
何と言ってもやはり、チューイとミレニアム・ファルコンだろう。
ハンの傍らには、レイアよりチューイ!
二人の出会いのシーンはお楽しみ。
ここから『フォースの覚醒』のあのシーンまで、苦楽を共にしたかと思うと感慨深いものがある。
持つべきものは、最高の相棒!
そして、ミレニアム・ファルコン。
船内、砲座、コクピット、そこから見える星々の大海…。あ~、これこれ!
当初は操縦席にも座らせて貰えなかったが、遂に座った時、愛機はこの男が自分を操縦してくれるのを待っていたのだ!
初めて語られるエピソードにも注目。
“ハン・ソロ”というフルネームの由来。
ある理由から、一時期帝国軍の歩兵に。
その時出会った男、ベケット。ハンを悪党の道に引き入れ、酸いも甘いも叩き込んだ師のような存在だが…?
そして、レイアの前に愛した女、キーラ。ハンの旅立ちは彼女が起点と言っても過言ではなく、また彼女自身も単なるお飾りヒロインではない。
冒険、成長、出会い、別れ…王道的若者物語。
それらを纏め上げたのは、前任者の降板により急遽のピンチヒッターとなったロン・ハワード。
ハワードの後任登板には正直驚いたが、そこはやはりオスカー監督でもあるベテラン、余裕とでも言うべき安定の手腕。
冒頭のチェイスから始まり、豪雪の惑星での走る列車上でのバトル、ドデカイ宇宙怪獣の襲撃、因縁ある盗賊団との追いつ追われつ…エキサイティングなアクションが要所要所、ふんだんに。
登場するキャラはほとんどが一癖二癖ある連中故、裏切りや危険が付きまとう裏社会クライム物。そこに、強奪や盗賊団との戦いなど西部劇的な要素も。
脚本はシリーズと馴染み深いローレンス・カスダン(と息子のジョナサン)。
ユーモアも交え、見せ場を抑え、見せ方も心得た、両ベテランが魅せてくれる。
あの曲この曲…音楽の使い方も心憎い。
リンクネタはニヤリとさせるに充分。
チューイとホログラムゲーム、シリーズお約束の台詞やハンと言えばのあの台詞もアレンジして。
運び屋を探しているというタトゥイーンの大物ギャングの話。
そして終盤登場する、意外過ぎるあのキャラ!
このキャラとどう絡むのか、キーラとの関係、今回残念ながら未登場だったその大物ギャング、そして密かに立ち上がる同盟たち…。
夢にまで見たパイロット…。ミレニアム・ファルコンに乗って、ハンとチューイの次なる冒険も見てみたい。
誰が演じても難色やプレッシャーの対象であろうが、新星オールデン・エアエンライクはこの愛すべきアウトローを魅力的に演じていたと思う。チューイとのやり取りも上々。
新キャラ、若い馴染みのキャラがそれぞれ見せ場を設ける中、一際印象的だったのが、新ドロイドのL3。ドロイドの権利を主張し、ガールズトークも出来ちゃう、そう、ランドの世話女房的なシリーズ初の女型ドロイド!
この頃から老いても尚、ヤバい世界で生きるハン。10回くらい死んでても不思議ではない。
とことん、この刺激的な生き方が好きなのだ。
穏やか、平凡な暮らしは俺の性に合わない。ヤバくて危険な冒険が俺を呼んでいる。
劇中でも言ってたが、誰にも指図されたくない。命令されたくない。
男なら一度は言ってみたい台詞だが、それって相当の覚悟がいる。
ヘマしても守ってくれる者はおらず、生きるも死ぬも自分次第。
それでも決めた孤高の生き方。
ニヒルでひねくれ根性だが、その実は、仲間思いで、熱い男。
だからこそ我々は永遠に、このアウトローを愛し、憧れるのだ。
公開されたばかりの話題作なので、お楽しみの諸々や魅力は是非ともご自身の目で。
…公開されたばかりの話題作なので、あまりネガティブな事は言いたくないが、ちょっとだけ触れたいと思う。
新シリーズの中では最も痛快で単純明快な娯楽活劇に仕上がっているが、その面白さは言うなれば“知っていた”。
それ以上のもの…例えば、『ローグ・ワン』のような予想以上の面白さ、激アツ、感動には欠けた。
また、本作について今後触れる時必ず指摘されるであろう、全米での成績不振。
成績不振と言っても全米では現時点で2億ドルを超えていて、他の作品と比較すると充分の大ヒットなのだが、製作費や映画史上屈指のドル箱シリーズである事を考えると、確かにちと鈍く、物足りない。
公開時期の問題など色々理由が分析されてるようだが、思うに一番の理由は、毎年毎年の新作公開だろう。
誰だって数年に一本だったお祭りがこうも毎年毎年続いたら、お楽しみが薄れ、有り難みが無くなる。
毎年毎年新作を公開して盛り上げようとしていたディズニーの戦略が完全に裏目に出てしまった。
(本作の不振を受けて、予定されていたスピンオフ企画は全て中止に。個人的にちょっと期待していたスティーヴン・ダルドリー監督でユアン・マクレガーの復帰が噂されていた20年公開予定だった若かりし頃のオビ・ワンのスピンオフまで無くなってしまったではないか!)
『フォースの覚醒』『ローグ・ワン』『最後のジェダイ』『ハン・ソロ』…。
スピンオフ含め、ディズニーによる製作で再始動した新シリーズ。
ご存知のように、賛否両論。『最後のジェダイ』なんて凄まじく叩かれた。
長きに渡って愛され、それぞれに思い入れがあるのだから、色んな意見が出るのは当然。
でもその中で附に落ちない意見は、「こんなんじゃない」「紛い物」「シリーズの栄光に泥を塗ったゴミ、クソ」などという辛辣な意見。
ならば、どういう新たなる伝説が見たかったのだろう。
おそらく現在屈指の才ある監督が手掛けても、もしくはルーカスが復帰しても、賛否の声は必ず出ただろう。今回の『ハン・ソロ』も厳しい意見が出るだろう。
ファンだけのファンだけが楽しめるシリーズを続けていくか、賛否あろうともファンの期待と予想を裏切り、新たなファンへもアピール出来るよう発展させていくか。
シリーズ永遠の課題。
どっちがいい悪いなんて無い。
あるのは、素直に意見を述べ、純粋に楽しむ事だけ。
だって、『スター・ウォーズ』なんだから!
近大さん、ご無沙汰しております。ソロは大好きな作品です、感動は少ないけどワクワクが十分で作ってくれてありがとうと言いたいです。
本日ep9観てきました。例によってレビューはしませんが近大さんの事だから必ず観てレビューあげられるでしょうからその際にコメントなんぞさせていただきます。年末につき多忙等お体ご自愛下さい。それでは又。
近大さん、教えて下さりありがとうございます!
まさかダース・モールご本人様だったとは!
体を真っ二つにされても生存していたなんて…。恐るべき生命力ですねぇ…
(笑)
アニメシリーズは未見なのでめちゃくちゃ驚きました! そっくりな別人…にしては似過ぎやなぁ…と思っていました(笑)
もし今も生きているとしたら、現在進行中の三部作の裏側で暗躍しているのでしょうか? でも、キーラとハン・ソロの物語はまだ終わってない感じでしたので、できることなら続編を製作して欲しいなと思いました。