ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー : インタビュー
新鋭オールデン・エアエンライクが語る、新たな“ハン・ソロ像”とは?
「スター・ウォーズ」シリーズに登場するハン・ソロの若き日を描くアクションアドベンチャー「ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー」が、6月29日に封切られる。タイトルロールを演じたのは、新鋭オールデン・エアエンライク。メガホンをとったロン・ハワード監督とともに来日し、“スター・ウォーズ”ファミリーの一員となった喜びと、新たなハン・ソロ像について語った。(取材・文・写真/編集部)
映画は、同シリーズきっての人気キャラクターである“愛すべき悪党”ハン・ソロの知られざる過去を描いたスピンオフ作品。のちに生涯の相棒となるチューバッカとの出会いや絆、愛機ミレニアム・ファルコン号の船長になるまでのエピソードを明かしながら、ハン・ソロがアウトローとして生きるようになった原点にフォーカスする。
「初めて『スター・ウォーズ』を見たのは友だちの家で、5歳くらいのときです。夢中になって、フィギュアとかライトセーバーとか、おもちゃをたくさん持っていました。だからこそ、今こんな状況になっているのが信じられない」。そう言って、取材部屋に置かれた“自分”のフィギュアが乗ったミレニアム・ファルコン号のプラモデルに目を輝かせる。ハリソン・フォード演じるハン・ソロが活躍するオリジナル・トリロジーが公開されたのは、現在28歳のエアエンライクが生まれる前の話だ。
ハン・ソロ役を射止めようとオーディションを受けた俳優は約3000人。6カ月間に及ぶ選考の末、合格の知らせを受けたときのことを「飛び上がるほど嬉しくて、有頂天でした。人生の冒険が始まると思いました。それで日本にも来られたわけだし、ただただ、素晴らしい出来事でしたね」と振り返る。
役を得てから公式発表までの約3カ月間は「うそつきになりました(笑)」というが、大の仲良しという86歳の祖母には、「絶対に誰にも言っちゃダメ」と念押ししてそっと打ち明けたのだとか。しかし、公式発表前に米Deadlineがエアエンライクのキャスティングを報じたことで事態は急転。至るところで祝福を受けることになり、「すごく大変だった」と苦笑する。「レストランとかで、みんなが『おめでとう!』って言ってくれるんだけれど、『何の話?』って顔をしなくちゃならなかったんです。クレイジーな体験でしたね」
すでに世界中で愛されているキャラクターの起源を演じるため、フォードの演技をくまなく観察することから役作りをスタートさせた。「これまでのシリーズ作品をすべて見て、彼の演技をできる限り吸収しようとしました。そうすれば、よく知っている歌を空で歌えるように、意識しなくても演じられるようになりますから」。その一方で、「今作でのハン・ソロが、いずれ皆さんが知っているハン・ソロになることを連想させつつ、キャラクターを自分のものにして演じなければいけない。彼はまだ若くて、イノセントで、夢があって、理想主義者の側面も持っています。そのバランスを上手く取ることを意識していました」と、命がけで自由を求め、宇宙一のパイロットになる夢をがむしゃらに追いかける新たなハン・ソロ像を模索した。
フォードへの敬意から、「彼と会って話もせずにハン・ソロを演じるのは違う」と、フォードが所有する飛行機の格納庫にも出向いた。「彼のこれまでのキャリアや、大スターであり続けてきた経験、どう自らの道を作ってきたかについて聞きました。素晴らしい人です。すごく協力的で、応援してくれました。彼の祝福を受けて撮影に臨めたのはすごく良いことでしたし、僕にとって重要なことでした」
インタビューと同日に行われた記者会見で、ハワード監督は「ハリソンはオールデンをベタ褒めしていました。その創造性にワクワクしていて、『オールデンは、ジョージ・ルーカスが創造したハン・ソロというキャラクターのエッセンスをよく理解して、見事に演じきった』と言っていた」と発言。同じ人物を演じた2人の相性の良さをうかがわせている。
終始落ち着いた語り口でインタビューに応じたエアエンライクだったが、ミレニアム・ファルコン号の話になると「操縦席に座って自分で飛ばすなんて、最高にクールだった! 撮影中は前方のスクリーンに映像が投影されていて、どこを飛んでいるのかわかるようになっているんです。(視覚効果用の)グリーンバックじゃなくて、実際に揺れるし、究極のアトラクションでしたよ(笑)!」とファンの顔を覗かせる。
思わずあふれ出した“スター・ウォーズ愛”を落ち着かせ、「それに……素晴らしいキャストたちと一緒に乗船したことで、より素晴らしい経験になりました」とプロらしく付け加えてはにかむ姿が、ハン・ソロに負けない魅力を放っていた。