「なかなか」累 かさね テツさんの映画レビュー(感想・評価)
なかなか
案外面白かった印象
原作ほぼ未読
母譲りの演技力を持ち、醜い容姿の累と問題を抱え伸び悩む女優のニナが顔が入れ替わる不思議な口紅で顔を入れ替え、累は今まで味わえなかった大勢の前で自分の演技を見せつける機会を、ニナは女優としての名声を上げていく共犯者のような関係へとなるが…
「そもそも芳根京子が醜い容姿って…」みたいなキャスティング問題はこの際置いておこう
土屋太鳳と両名ともに、累の怯えたような外界と交わってこなかったような雰囲気、ニナのごう慢なような、自分に自信満々なような雰囲気を演じており、どちらも今まで過去に演じてきたキャラクターとは違うキャラクターを演じているので好印象
口紅で入れ替わるという突飛なことの受け入れがあまりにも早い気がするけどまあしょうが無い
その後2人は女優”丹沢ニナ“を造り上げるために共犯関係になるが、次第に綻びが見え始める…
横山裕演じる演出家をきっかけに2人の関係はより悪化していくのだが、後半になると全く絡まないのは予想外だったかな
浅野忠信演じるマネージャーがどちらの味方をしているのか分からないような狂言回しの役回りであり、怪しげな雰囲気を醸し出しているのもなかなか
ニナの体調悪い描写もあったが、突然何週間何か月目覚めない病気というのはあまりにも唐突かな?
しかも5ヶ月経ってるというのもビックリした
その間に累は女優”丹沢ニナ“をスターダムへと押し上げ、今までの立場を逆転させたように”丹沢ニナ“を生きていた
そして、2人は人生を賭けた争いを加速させていく…
前述の通り、主演2人の演技がとてもよく、自らのエゴを剥き出しにした狂気をはらんだ表情や舞台「サロメ」を演じているときののめり込んだ演技、土屋太鳳の方ではダンスシーンでの妖艶さなど、主演2人の今までのパブリックイメージを脱却するような生々しい演技が見物の作品
まあ、多少2人の行動(特に終盤のお互いがお互いを嵌めようとするくだり)ではお互いの狂った発想のためにとった行動が浅はかですなーとは思ったけど(ニナは自分の女優人生を台無しにしかけているし、累はニナの悔しそうな顔が見たいが為にリスクの高い行動している)
まあスリリングな主演2人の演技を見るだけでも充分だと思いました