ヴァーサス ケン・ローチ映画と人生のレビュー・感想・評価
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【常に弱者、労働者階級の視点で映画を作り続けるケン・ローチの映画人生を追ったドキュメンタリー。是枝裕和監督が信奉するのも良く分かる。】
■作品を発表するたび物議を醸す英国を代表する映画監督、ケン・ローチ。
信念を持って映画を作り続ける監督自身はもちろん、友人や対立関係にある人々、俳優たちなどにインタビューを行い、代表作を振り返りながら、50年にわたる類まれなキャリアと人生に迫る。
◆感想
・私事で恐縮であるが、ケン・ローチ監督作を劇場で観たのは「私は、ダニエル・ブレイク」である。
社会的弱者に対する英国の行政のマニュアルに則った対応に憤ったモノである。
・更にその後観た「家族を想うとき」には、切なき想いを感じたモノである。
・その後、配信で観た今作でも触れられている「ケス」を見た時の感想。
<このドキュメンタリー映画を観ると、ケン・ローチ監督のブレない弱者に寄り添った映画作りが良く分かる
そして、彼の姿勢は日本が誇る是枝裕和監督に引き継がれているのである。>
家族を撮ろうと思えば政治は避けられない
ケン・ローチは劇中で家族を撮ろうと思えば政治は避けられないと言い切る。
ケン・ローチといえば、ケスの美しい映像と、救いようのない結末が浮かぶ。
グラマースクールに行けて、オックスフォードに進んでいなければ抜け出せないままだったであろう、他の人たちへの思い。社会への絶望、反抗。それが彼を撮ることに駆り立てる。
引退を表明しても、保守党の政権になるとすぐまた撮らずにいられない。
65年頃には上流階級の物語ばかりで、普通の人が登場することがなかったというのは驚きだった。
上の人が下を演じることは出来ても、逆は無理だと。そして、上流階級の遊びの恋愛は許されても、労働者のそれは許されない世界。
そこから比べると大きく世界は変わったといえる。
時には労働者を裏切る労働組合の幹部を描く。全ての権力への反抗がそこにはある。
政治的過ぎると批判を浴び、仕事のない時期もあった。
信念を曲げないという印象は強いが、ネスレやマクドナルドのCMやミュージカルの俳優をやって食べていた時期もあった(ミュージカルは好きらしい)。
その強い生き方は彼の撮ってきた映画の人物と繋がる。
フランスやヨーロッパ諸国では高い評価を得ているが、イギリスではそれには及ばない。事情の分からない部分のある外国のほうがかえって評価されるのかもしれない。
「英国階級社会」と闘い続けた ローチ監督 (と やっぱり卑怯だった BBC)
労働者階級出身の監督の 英国における階級社会への疑問
それを解き明かす作品が、支配階層の心をかき乱す…
「労働党の役割」が 労働者階級を罠に嵌めることであり、「労働組合幹部」の労働者への裏切りが 明白になる
(サッチャー政策や BBCの背信)
支配層とその追従者を敵にまわし
「プロパガンダ映画を作った」とか「歴史の改竄者」とか言われてしまう
資金が集まらず、製作出来ない日々
ネスレや マクドナルドのCM撮影まで してたなんて!
そして「コーラスライン(舞台)」!!!
(作風が… )
労働者の目線からの 「不条理のような政治や現実」は英国の問題だけでなく、
世界で評価
その受賞歴の多さにも、驚き
ついに 平伏するBBC
(海外での監督の評価 という、外圧に屈服したんですかね)
細身の体で 静かな炎を燃やしながら、問題を提起し続けた監督に、感服
(急所を探し、仕留めるような洞察力も凄い)
(BBCに対する怒りが 結構大きい)
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