ゴッホ 最期の手紙のレビュー・感想・評価
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フィンセントの見た世界
原題の「Loving Vincent」は、手紙の最後に書かれる「愛を込めてフィンセント」という意味です。
邦題の「ゴッホ~最期の手紙~」は、主人公を行動させる元となる手紙のことです。
サブタイトルの「愛か、狂気か」は、愛があれば、狂気はないし、愛がなければ、狂気しかないというように感じました。
ゴッホやゴッホの絵画に興味がある人には、お勧めできる映画です。
絵画に興味のない人にも、この映画を鑑賞することで、絵画やゴッホに興味を持つきっかけになれる映画なので、お勧めできる映画です。
フィンセントが描いた油絵を元にして、油絵によるアニメーションで、フィンセントが見た世界を見せるという演出は気に入りました。
ストーリーは、今でも判明していないフィンセントの死について、実在の人物に語らせて、真相を追求するというミステリーです。
自分のこの映画を観て、フィンセントの死について、考えてみました。
フィンセントは、南フランスのアルルを気に入っていましたが、アルルの人々と上手く過ごすことができずに、追放の嘆願書によって追放されました。
フィンセントは、南フランスのアルルを追い出され、パリにも馴染めず、テオの勧めでポール・ガシェのいる北フランスのオーヴェル=シュル=オワーズに滞在し、滞在するために、多くの絵画を制作しました。
フィンセントは、南フランスのアルルにはない、北フランスのオーヴェル=シュル=オワーズの何かに惹かれたということです。
フィンセントは、過去の失恋により、女性に対する抵抗感がありました。
マルグリット・ガシェは、父親であるポール・ガシェの過保護のため、オーヴェル=シュル=オワーズの男性と交際することができません。
フィンセントは、ポール・ガシェの治療を受けるために、マルグリット・ガシェと出会いました。
ポール・ガシェは、フィンセントとは芸術を通して、フィンセントを尊敬しています。
マルグリット・ガシェは、父親であるポール・ガシェが尊敬しているフィンセントに親しみから愛情を持つようになるのは当然でしょう。
フィンセントは、初めてマルグリット・ガシェという女性と普通の交際ができて、愛情を持つようになり、幸せの絶頂になるのは当然でしょう。
タンギー爺さんの言っていたフィンセントがやっとつかんだ星とは、マルグリット・ガシェだということです。
本当は芸術家になりたかったが、父に逆らえず、医学の道へ進んだんだポール・ガシェは、フィンセントとマルグリット・ガシェの交際には反対したでしょう。
ポール・ガシェは、鬱病の専門家としての知識を利用して、「テオは第三期の梅毒にかかっている」と嘘を言って、フィンセントを精神的に追い込み、マルグリット・ガシェと別れさせたということです。
妻のヨーも長男も梅毒ではないので、テオも梅毒ではありません。
しかし、テオが体調を崩していたのは事実です。
フィンセントの自殺の痕跡が全て消され、警察が探しても分からないほどの隠ぺい工作が行われました。
この隠ぺい工作ができるのもまた、警察と医者として付き合いがあるポール・ガシェだけです。
他殺か自殺かという疑問は残りますが、ポール・ガシェがフィンセントの死に関与していたことは事実だと感じました。
フィンセントは、南フランスのアルルでは見つけられず、北フランスのオーヴェル=シュル=オワーズで見つけたのは、マルグリット・ガシェの愛情です。
フィンセントが庇いかったのは、マルグリット・ガシェです。
マルグリット・ガシェが知られたくなかったのは、フィンセントへの愛情です。
フィンセントが1日でも多く長生きしていれば、もっと多くの絵画を残すことができたと思うと、残念でしかありません。
自分も生きている今日を大切に生きなければならないと感じました。
二本立て二本目。油絵アニメが斬新。ゴッホの最期、その真相は? ミス...
斬新な油絵アニメ映画
125名の画家がゴッホタッチで描いた62450枚にも及ぶ油絵を基に作られたアニメーション。ゴッホが弟テオに書いた手紙で「我々は自分たちの絵にしか語らせることはできないのだ」という言葉があったため、彼の絵に語らせるべきではないか?といった経緯で、前人未踏の大胆な手法でその人生を描いた映画なのです。
ストーリーは、アルマンという青年が郵便配達人である父親からゴッホが弟テオに宛てた手紙を託され、自殺したとされるゴッホの死の真相を探るというもの。この際、ストーリーはどうでもよくなるくらい画面に釘付けとなってしまう。何しろ油絵が動き出すんですよ!回想部分はモノクロの水彩画になり、これもまた素敵なのです。
ゴッホの人生については映画『炎の人ゴッホ』でしか知らなかったのですが、耳切りの部分はあっさり描き、自殺したとされる腹部の銃痕だとか、かなり検証されている感じのストーリー。有名な絵をもとに人物像も作り上げ、それぞれの証言が食い違ってるところもミステリーとして面白かった。
生前には1枚の絵しか売れなかったというゴッホ。記憶に新しいのはバブル期に価格が高騰して、ゴッホというのは財テクのための画家だったのかと、誤った認識を持たされたことでしょうか。波乱に満ちた晩年や彼の内面については他の映画で描かれているので、この作品はこれで良しでしょう。
【ゴッホの生涯を油絵によって描き出したペインティング・アニメーション。今作自体がアートである】
100人以上の画家によって描かれた油絵で作るアニメーション
劇場で観れば良かった
フィンセント・ファン・ゴッホ
実写映画として撮影された映像をキャンバスに投影して描かれたと知り納得。絵画的というより写実的なアニメーションにみえたので。
本編の1秒は12枚の油絵を撮影した高解像度写真によって構成、合計62,450枚もの油絵。
ゴッホの死から1年後のお話
自殺なのか事故死なのか他殺なのか
最期の手紙の内容とは
種まく人の絵も
パンフレット風のエンドロールというかエピローグもいい
妄想と芸術
非常に手の込んだ手法
驚異の「動く油絵」!
壮絶な手間をかけて綴られたゴッホの死を巡る推理サスペンス
ゴッホが弟テオに宛てた最後の手紙は宛先不明で郵便配達人ジョゼフの元に戻ってくる。ジョゼフにその手紙を託された息子のアルランはパリに赴くが・・・。先のエピソード以外は何も予備知識がなかったので勝手にゴッホの半生をなぞった実録ドラマと思い込んでいましたが、そんな話ではなくてアルランがゴッホを知る人達に片っ端から会ってゴッホの死の真相に迫る推理サスペンス。もうひとつ勘違いしていたのはセル画の代わりに油画を使ったアニメだと思っていたこと。考えてみれば100分近い尺に対して油画約6万5000枚はむしろ少ないわけでそこはモーフィングその他の技法を駆使して仕上げられている。ただそれでもその手間たるや壮絶で、実写で一旦撮影した映像をいちいち油画に置き換えている様子。ということで冒頭の数分はその超絶技巧に目を奪われてしまうわけですが、なんとなく製作工程が把握出来てからはその技法は目立たなくなり、自然とドラマに集中出来ました。先にこの秋公開予定の『永遠の門 ゴッホの見た未来』を観ていたのでストーリーも追いやすかったです。推理サスペンスなので横溝正史原作の角川映画でも観ているかのような禍々しさを纏っているわけですが、様々な証言を経てアルランが辿り着いた推理は突き抜けて鮮やかな色彩に満ちていて、本作の技法が正鵠を得ていたことが明確に示され爽快です。
全編どこまでも美しいゴッホの諸作に対するオマージュに満ちていて眼福以外の何物でもない作品ですが、そんな無数の油画の中で一際美しく描かれているのが医師ガシェの娘マルグリットを演じたシアーシャ・ローナン。油画に置き換えられているのに彼女と解る瑞々しい美しさに思わず息を呑みました。
タイトルなし
人を世界を見つめようとしたゴッホ
ゴッホといえば狂人的なイメージもあると思うのですが、まずはそういう先入観から出発して、蠢く油絵で周囲にいた人間たちからみたゴッホという人物を行く通りにも描いていきます。
ゴッホの目から見た世界であるゴッホの創作自体と、ゴッホをそれぞれの人間たちの思惑で見ていることとが、マッチして不思議な感覚でした。
ただ動く油絵といっても、フレデリックバックとかノルシュテインのような絵画的な動きではなく、撮影した映像の筆タッチ変換に近いものであったのは、書いておきます。。。もっと映像から抜け出して崩したカットも見てみたかった。
なのでモロに役者の感じが浮き出ていて、苦手な演技の人は気になりました。全体にはそもそものキャスティングも(ちゃんと絵にかかれた人に良く似ている)よいし演技もがっちりできているので、ゴッホ役の方を初めむしろ生の演技も見てみたくなりました。
音楽はちょっと平板で勿体無かった。
絵画の上では見つめる当事者のゴッホを、この映画では被写体として見るので、より一層かわいそうな気持ちになりました。
個人的に単純に知らなかったことも出てきて、ゴッホに対しての認識がまた深まりました。
この美しいゴッホの絵画タッチに引き寄せられるような磁力とは何かな?
本作を観て1番先に思い出した映画は、数年前に観た「戦場のワルツ」。あの映画を観た時の強いインパクトに似ているなと、この不思議な世界感にまた、本作でもワクワクしてしまった。
「戦場のワルツ」と本作の両者では、全くジャンルが異なる映画だけれども、アニメ作品で有るとはいっても、普通のアニメ作品のような、マンガチックでは決してない、全く異なる世界感で表現されていて、何故かそれが、観客の心を引き寄せる力を持っていると言う事が不思議ですね!
多分天才画家のゴッホの作風を100人にもおよぶ画家達が模している事で、ゴッホの絵に込められている何か人を感動させるパワーみたいな物が映画の画面からも溢れだしているのかも知れないね。
この世界的に有名な近代絵画の大御所ゴッホの死の謎に迫る作品なので、一応ジャンル的にはアニメ×サスペンスかな?
アニメ×バイオグラフィカル映画。それとも本作は、一種のアニメで綴るドキュメンタリー作品になるのかなぁ?
まあそんなジャンル分けはどうでも良い。結局の処ゴッホが生きていた時代は100年以上も前の事なのだし、結局彼の死を誘発する様な有力な決定的証拠品も無いようだし、確かな死因と言うか、どうして亡くなったのかは結局本人のみぞ知る事のようだ。
自殺か他殺か、或いは事故死なのかも釈然としないままに。
それでも、今も世界中の人々から、彼の絵画の素晴らしさは認められ、愛されていると言うその事実が有るだけで、彼の自立出来なかった経済的苦労や、彼を支えた弟家族の苦労の数々も、今は巨匠としてその名を誇る事でその総ての苦労は報われたのではないだろうか?
現に私達も、こうした彼の生きた時代には考えられなかった手法に因って彼の作品の片鱗を映画でも感じて感動する事が出来ているのだから!芸術家冥利に尽きるのではないだろうか?
今の彼の絵に対する評価を彼自身が知ったなら、時代が追い付かずに、自分の才能があまりにも早過ぎた事を知り、感動するのではないだろうか?
しかし、本作ゴッホ自身の絵画のタッチを活かした形でアニメにして映画を綴ると言うのはひょっとして、10年ほど前に東芝が液晶テレビの素晴らしさをアピールする為に世界の絵画シリーズで多くの絵画の作品を起用してCMを制作していた事にヒントを得て制作されたのではないか?と憶測するのは、日本文化を愛する私の妄想だろうか?
異世界
100人以上の画家がフィンセント・ファン・ゴッホの人生に迫る名作
絵画が動く
十人十色の人物像
ゴッホを求めて
手書きやCGのアニメーションの圧倒的な映像美やハイクオリティーさには目を見張らされるが、斬新さや驚きは稀。
しかし、本作は違う!
油絵が動く!
役者の演技に油絵を合成。
100人以上の絵描きと7年の歳月という労力と時間をかけただけあって、完成した画は“こんなアニメ見た事無い!”。
1コマ1コマ、芸術作品を見ているかのよう。
回想シーンはモノクロの油絵であり、こちらもユニーク。
画の表現法が先になってしまったが、本作の題材は…、
ゴッホ。
“動く油絵”は、彼のタッチの再現とリスペクト。
話は変化球。ゴッホの伝記物語ではなく、
拳銃自殺したゴッホが弟に宛てた手紙。
ゴッホの友人だった郵便配達の父からその手紙を託された息子が、ゴッホの死の真相に迫る…。
恥ずかしながらゴッホが自殺した事は初めて知ったが、ゴッホが生前評価されず、死後評価された事は知っている。
それ以外でも、ゴッホの人生は苦難の連続。
母には愛されず。
親の期待に応えようとするも、多くの職を転々。
画家となって才能を発揮するも、当時は異端の存在。
周囲や子供からも変人扱い。
唯一弟だけが理解し支えてくれたが、やがて精神を病んでいく…。
主人公の青年がゴッホの死の謎を調べていくと、ゴッホと親交あった人々の証言に矛盾が生じる。
ゴッホの本当の素顔とは? 何故彼は自ら命を絶った?
ゴッホの死の直前を知る医師に辿り着き、彼から明かされた真相とは…。
手紙に込められた思いとは…。
ゴッホの死は今も謎に包まれている為、本作の真相は本作だけの仮説。
創作として筋は通っているようで、悲痛でもあるが、それが直接死に繋がったか、ちと動機が弱い気もした。
登場人物も多く、カラーとモノクロで色分けしているも、現在と過去交錯し、なかなか複雑。
が、ゴッホと近かった実在の人物やゴッホの謎に迫る内容は、ファンには堪らないだろう。
いつぞやの『名探偵コナン』の映画でゴッホを題材にして“アート・ミステリー”なんて言った割りにそうでもなかったが、本作は話に面白味もあり、興味深くもあり、アートとして堪能も出来、これぞ本当の“アート・ミステリー”である。
日本で言ったら、葛飾北斎のあの独特のタッチの画が動く。
それはそれで見てみたい。
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