終わった人のレビュー・感想・評価
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出演者の演技力
WOWOWにて全く前情報なく鑑賞。
舘ひろしさんはじめ、笹野高史さんや高畑淳子さんなどの演技は味があり、盛岡弁も違和感なく聞こえる。
中田監督はホラーが得意なだけあり、表情で状況を魅せることに長けている気がする。極限に気まずい状況を広末さんが目と表情だけでコミカルに表すシーンなどはかわいらしくもあり笑いを誘う。ただ、黒木瞳さんだけは良くも悪くも感情が読めず、終始不穏な空気だった。
ともすればカッコよくなってしまう舘ひろしさんを、敢えてダサい服装にしたり白髪にしたりでしょぼくれたシニアをうまく演出している。スーツとサングラスが似合うなぁ。
ストーリーは少し強引で、特にラストら辺の卒婚に至る経緯は突然感があるが、こういう余生の過ごし方もあるのかなと。夢や目標は何歳でも持つべきだなと感じた。
「思い出と戦っても勝てない」
「散る桜 残る桜も 散る桜」
館さんかっこ良すぎです
館さんが一般的なおじさまとカッコ良さでかけ離れ過ぎていたので、あまり悲壮感を感じられず、『終わった人』になっていませんでした。世の中のおじさんは、もっと邪険にされてると思いますよ。デートなんて夢のまた夢。だから少しの間だけ、悲しきおじさんに夢を見させてくれる作品です。
公園、図書館、ジムで口開けて眠ってる老人・・・死んでるように見えて怖い!!
さすがJホラー監督!この老人の描き方だけは上手い。いつホラーになるのかと思ってゾクゾクしてしまいました。と、顧問役を任されたIT企業で社長の突然死。むちゃくちゃ怖かった。
多分、中田監督が悪いんじゃない。この内館牧子の原作を映画化しようとした企画自体が悪かったのだと思う。まずは人物設定がラガーマンで東大法学部卒、メガバンク就職、子会社出向の男・田代壮介。東大卒の頭脳を持ってる男だったらもう少し人生設計も考えたんじゃないかと思うが、何があったか知らないけど、そこまで我慢することあるのか?という疑問。
さらにストーリーも波乱万丈すぎる男を描いてあり、大学院を目指すとか、恋をするとか、顧問を頼まれてホイホイ引き受けるとか、そのまま社長になるとか一貫性がなさすぎる。これが東大卒じゃない世間知らずのおっさんならば許せるのに、ちょっとは考えてもらいたい。「所詮男はバカなんだから・・・」という発想なのだろうか・・・
しっかりしていそうでコロコロ態度が変わる妻の千草もわけわからない。一年くらいの間で離婚するとかしないとかの心変わりが激しすぎて、夫のために美容師を続ける姿も本当なのかと疑ってしまうほどでした。深読みすれば、絶対に男を作ってるだろうともとれるし、「恋をしろ」とかわけのわからない助言も謎のまま。本心は夫が大学院を目指すことを望んでたのだろうが、それならもっと意思表示を・・・顧問になるのだけは許してたのもおかしい。
「散る桜残る桜も散る桜」という良寛の辞世の句。そんな言葉を作中に選ぶことがすでに終わってる気もするし、この句が特攻隊員もよく使ったという点でも虚しさが残る。まぁ、借金を抱えて死ぬのも1億の貯金を保ったまま死ぬのも同じなんですがね・・・
定年の心準備のために、いざ鑑賞ですっ!
ホームセンターや電器量販店に行くとマッサージチェアー展示場がありますよね。
あの売り場を通ると昼間からジジババが座っていて満席。
「あー、嫌だ嫌だ、歳は取りたくないもんだ」と唾棄して目をそむけていた私。
ある日ふと時間を持て余し、(よせば良いのに) 座ってみた。50万円のパナソニック。
・
・
・
ハッ!と気がつくと「全身リラックスコース」はとうに終わっており、よだれを垂らして爆睡していた自分がそこにいました。
オーマイガー
映画のジジババとおんなじやん!
で、映画のこと。
【キャスティングミスを思う】
女優黒木瞳について。
以前から彼女のその表情と演技に感じていた硬さ。“対人関係障害”的なもの。そこに鑑賞中に気が滅入ってしまいました。表情も言葉も、閉ざした心も硬くって。
だから
「夫を支えるための美容院計画」とやらが白々しく聞こえるのです。配役ミスですね。
「ひらり」を書いた内館牧子原作ならどーんと腕っぷしの強い母ちゃん像を持って来てくれても良かったのに。渡辺直美でどう?
舘ひろしが奮闘するシーンは爆笑してしまうのですが、妻黒木瞳の出番では冷たい風が吹いて突然別世界に暗転するんですよね。
とにかく普通ではない何かが。
黒木の無表情が怖かったです。定年の夫を迎える妻があれですか?
【深読みしてみた】
恐怖心霊映画「リング」の中田秀夫が監督を務めたとのこと。
「仄暗い水の底から」起用以来、黒木は何かに取り憑かれていて、どこか大切な所が壊れてしまったのではないでしょうか。
ヘヤーサロンが早晩潰れて、桜の木に誰かがぶら下がるような、嫌な予感さえ残すエンディングでした。
オカルト畑の中田監督は、もう、100%のコメディやホームドラマは出来ないんですよ、暗雲や不安な気配が隠しても隠しても出てきてしまいます。
いや、マジで。
内館大丈夫か?
終わった家族。
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舘ひろし、横浜の中華街の雑踏で見ました。黒スーツに黒いグラサン姿。人混みに仁王立ちで何分も動かずに。
どこかでカメラが回っていたんでしょうねー。ニヒルな彼もいい味のシニアになりましたね。
30年前の思い出。
盛岡弁、、、
なんともいえない不自然さな盛岡弁、。。
それはさておき、この映画で舘ひろしさん
が『終わった役』やられてましたが、
なんだか今一つ『終わった感』がなかったのは、舘ひろしさんがダンディ過ぎるからですね(笑)
【舘ひろしさんの今までのイメージを払拭して演じた姿にビックリし、国内外での受賞にビックリした作品】
トレンディー俳優の最先端をある時期、走って来たお二人(舘ひろしさん、黒木瞳さん)が長年連れ添ったけれど、距離感が出てきている夫婦役を演じている。特に舘さんがわざわざお腹に詰め物をしてポッコリ感を出し、猫背で歩く佇まいにはビックリ。
しかしながら、それでも滲み出てしまうステイタス感に馴染めない人も
いた感があり。(世間一般基準から言えば、退職時に部長級になっている時点で(嫌な言葉だが)勝ち組であるし、奥さんが美容院を経営している点でも経済的に何の問題もない筈であるし、設定が甘い。)
それでも、田代壮介(舘さん)が、故郷盛岡に戻り同級生たちに心情を吐露するシーンは沁みるものがあり、”生きている限り、終わりはない”というメッセージは伝わった。
ホラーのイメージしかない中田秀夫監督が自ら志願してメガホンを取った作品。
<舘さん 第42回モントリオール世界映画祭最優秀男優賞受賞、更に第61回ブルーリボン賞主演男優賞受賞おめでとうございます。各ニュースには正直ビックリしました(すいません)。映画を拝見した者としては素直に嬉しく思いました。>
<2018年6月12日 劇場にて鑑賞>
終わってる内館牧子
始まって30分は耐える時間か。
映画なら、オープニングはしっかり掴んで欲しい!
ありがちで定年したらこうなると想像出来る演出をそのまんま見せられた感。観るのやめよかとリモコンに手がかかる。
俳優さんも大変だな…
この映画、パンチが効いてないのが致命傷。
色々なドラマを見せようとしているが、回収があまりに不十分なのだ。
これから先、定年世代が溢れてくる時代がやってくれる。
その前に見ておけばと薦められるか、
そんな出来ではなかった。
東大卒、メガバンク勤務で晩年出向。
なんなんだこの設定。
共感持てない。
こんな人種ってどれだけいるのよ。
分かってないね〜
最後に。
広末涼子さんみたいな受付がいるカルチャースクールなら、
仕事忙しくても頑張っていきますよ!😅
これほど劇的には変わらないよ
このテーマは定年で終わった人だけど、通常は定年前に終わっている人多いし、生まれたときから終わってる人も数多いし。
これほどがつがつしてたら終われないというか、怖いことになるよ。
それこそ、命が終わった人になるよ。
まあ、デフォルメなんだろうけど、こんなダンディで無理あるよ。
それもまた、映画か、まあ、楽しい映画でしたけど。
人の行き着くとこは大差ない
映画「終わった人」(中田秀夫監督)から。
書籍「終わった人」(内館牧子著)の映画化とあって楽しみにしていたが、
なかなか忙しくて、映画館に足を運べず、やっとDVDで鑑賞できた。
定年退職した私にとって、今だからこそ、のタイミングであったが、
読書後の感想とは逆に、同級生との会話を取り上げようと思う。
「羅漢、思い出と戦っても勝てないんだぞ。
大事なのはそこからどうやって生きるかだべ。人の行き着くとこは大差ない。
みんなまだ生きとる、終わってねぇべぇ」
この台詞に、主人公はどれだけ救われたかわからない。
東大卒でも高校卒でも、サラリーマンで定年退職を迎えた時、
気が付いてみれば、あまり変わらない人生を送っていたなんてことは、
よくあることなのに、退職後の人生でも差をつけようとするから、
中途半端なプライドが邪魔して身動きができなくなる。
定年後の年収が、200万だろうが、300万だろうが、400万だろうが・・
現役の時より大幅減には変わらないし、この差は大差とは言わない。
それに気付き、プライドを思いっきって捨てた時こそ、
新しい人生のスタートができることを、この作品は教えてくれた。
誰でも感じる定年退職を迎えた時の「焦燥感」がわかりやすいから、
身近に、定年間近の人がいたら、必見。(笑)
“始まった人”に、幸呼来(サッコラ)!
見る前はまるで期待してなかったけど、見てみたら、これがなかなか!
ご都合主義と良く描かれ過ぎてはいるけど、思ってた以上の好編。
ジャパニーズ・ホラー・マスター、中田秀夫がこういう作品を撮るとはねぇ~。
でも最たるは、
モントリオール世界映画祭や今日発表されたばかりのブルーリボン賞で、長いキャリアに於いて初の映画賞に輝いたという舘ひろし。おめでとうございます!
定年退職。
人生のほとんどを捧げてきたと言ってもいい会社を勤め上げ、盛大の労いと感謝と尊敬の中、見送られる。
そのまま、家族にも迎え入れられる。
これからは自分の為に、自分の好きな事を贅沢に。
充実のセカンド・ライフ♪
…が、これはあくまで理想。
実際は…、
出世争いに敗れ、子会社で迎えた定年。
一応皆形式的に見送り、何だか会社から追い払われたよう。
家族も一応迎えてくれるが、ご馳走の方が楽しみ。
大変なのは翌日から。
な・に・も・す・る・こ・と・が・な・い・!
一日中、ボケ~ッと…。
あれ、まだこんな時間…。一日って、こんなに長かったんだ…。
仕事してる時は分からなかった…。
そしてまた、ボケ~ッ…。
その姿、廃人。
定年退職って生前葬だな、とは何とも痛烈な例え。
…いや、幾ら何でも舘ひろしがそんなしょぼくれ初老親父になる筈がない!
…いやいや、なってるんだな、これが。
スターオーラを封印し、悲哀とコミカルとペーソスたっぷりのしょぼくれ初老親父に。
好演もさることながら、これがかなりハマってるのが面白い。
でも、舘ひろしがただ2時間ボケ~ッとしてるだけだったら話にならない。
そこは映画。劇的な転機が起きる。
主人公・壮介は、習い事を始めようとカルチャー・スクールへ。
そこで、受付女性の久里と知り合う。文学好きで、同郷・岩手出身という事もあり、意気投合。
この胸のトキメキ!
これって、恋…!?
家に帰っても、「恋だ、恋!」と浮かれまくる。
奥さんや娘の前で堂々と浮気宣言!
最も、奥さんも娘も本気にしてないだけ。
当の本人はマジ。
デートしたりもする。
デート中、「サングラス、似合いますね」と言われるが、そりゃあ似合うでしょう、ダンディー○山だもん(笑)
ある時、絶好のチャンスが。
熱海でお泊まり。
この時は年上の大人の男や色男ぶりを発揮して、何だかセルフパロディー。
しかし、この恋の結末は…。
ま、これでいいんだよ。
スポーツジムにも通い始めた壮介。
そこで、IT企業の青年社長と知り合う。
東大卒や一流企業勤務のキャリアを買われ、顧問になって欲しいと頼まれる。
承諾。
やっぱり俺はまだまだ仕事がしたいんだ。
根っからの“サラリーマン”なんだ。
妻も言う、スーツが呼吸してる、と。
ITの事なんて全然分からないけど、穏やかな性格と年の功で絶大な信頼を得る。
やっと見つけたやりがい。
ところが…
社長が急死。
社員に、次の社長になって欲しいと頼まれる。
これには妻は猛反対。顧問と社長じゃ責任がまるで違う、と。
妻の心配をよそに、自分の独断を優先。
社長になり、暫くは上手くいくが…、
ある時、大トラブルが…!
会社は倒産となり、1億円近い負債を背負う事になる。
何もする事が無かったセカンド・ライフが、まさかの借金地獄に。
妻の心配が現実に。
それがきっかけと言うか、壮介が独断で決めた事が許せず、険悪に。壮介は家を追い出される。
仕事も家庭も何もかも“終わった”壮介。
カプセルホテルに泊まり、広げたスポーツ新聞から目に飛び込んで来たのは…
故郷・盛岡の母校のラグビー部の記事…。
壮介は度々、故郷の事や若い頃を回想する。
あの頃は、全てが輝いていた。将来も何もかも、夢と希望に満ち溢れていた。
でも、今は…
思えば、故郷に長らく帰ってなかった。
自分の見栄。
地元から初の東大卒で一流企業勤務。
それが冴えない定年となり、“終わった人”に。
そんな自分でも、故郷は迎え入れてくれる。
旧友たちも皆歳を取った。
でも皆まだ、終わっていない。
岩手は東日本大震災の被災地。旧友の一人が故郷復興支援のNPO法人で働き、その仕事を誘われる。
壮介も故郷を思う気持ちは強い。
が、まだ独断で決めれば…。
妻は夢だったヘアサロンの店をオープンさせたばかり。
自分が故郷に戻るという事は、妻の選択肢は2つ。
始めたばかりの夢を断つか、それとも離婚か…。
出した答えは…
“卒婚”。
離婚ではない。が、結婚生活や同居を解消し、卒業するという事…。
安直なハッピーエンドになるかと思いきや、何処か侘しく…。
壮介は故郷に戻り、故郷の為に働く。
そんな壮介の前に、妻が。
時々髪を染めに来てあげるという。
そう、離婚したんじゃない。別れてそれぞれ暮らしているが、終わった訳じゃないのだ。
こういうセカンド・ライフもある、と思わせる。
妻と歩く桜道。
その選んだ“始まった”セカンド・ライフに、幸呼来(サッコラ)。
もっとコメディ要素が強いと思ってたが…
定年後のおじさんの話を見るのかと思いきや、様々な機会があり、チャレンジを繰り返して行く予想外の話。
舘ひろしの抜けた親父が妙にハマっていて良かった。
自分の20数年後を考えさせられたが、やはり働きたいと思うのだろうか…。
今は今すぐにでも会社を辞めたいのに。
"学歴"や"キャリア"は、その人の本当の価値ではない!
舘ひろしが、"第42回モントリオール世界映画祭"の最優秀男優賞を、高倉健以来、19年年ぶりに受賞というニュースが飛び込んできた。
劇場公開は今年6月。東映系なので公開館がジミで、西新井まで観に行ったことを覚えている。おめでたいので、思い出して鑑賞コメントを記録しておこう。
舘ひろしももう68歳なのね。"定年"をテーマにしたドラマは珍しくないけれど、とてもヒネリが効いている。
大河ドラマ「毛利元就」や、NHK連続テレビ小説も2回など、多くのドラマ脚本を手掛けている内館牧子による、"原作小説"である。さすがの内館ストーリーだが、なぜか映画の脚本は"本人ではない"ところがおもしろい(脚本は根本ノンジ)。
内館脚本というと、個人的にはTBSの「クリスマスイブ」(1990)を思い出す。吉田栄作と仙道敦子主演で、辛島美登里の主題歌が大ヒットした。最終回は視聴率20%超えした。大昔のハナシである。
"学歴"や"キャリア(役職・職歴)"は、その人の本当の価値ではない。
それに気づくのは、会社という枠組みを卒業したあとである。一方で"専業主婦"には定年はない。それなのに定年後のダンナは、いままでと同じだと思っている。そして"役立たず"になる。
ここまではありがちな設定だ。しかし本作の主人公(舘ひろし)は、"そんなことはわかっている!!"。
定年は、"生前葬みたいなもの"と自虐し、出世コースから外れた、自分の人生をある程度、客観視している。そして"終わった人"と思われていることも認識している。ヒマな時間を持て余し、公園や図書館など避難先を探すが、いずれも、"ジジ・ババのたまり場"。"まだ自分は終わっていない"と再就職に奮起する。
一方の美容師の妻(黒木瞳)は、手に職を持つスペシャリストである。自営業なので定年はないばかりか、今まさに自らの美容院を開業しようとしている。
ここからドラマティックに動き出す。主人公がそのキャリアを見込まれて、新進気鋭の若手社長に誘われるのだ。ところがそんなオイシイ話は長続きしない。まるでジェットコースターみたい。
ちなみにスポーツジムのシーンでちらっと、内館牧子がカメオ出演しているので、思わず笑ってしまう。また主題歌は、今井美樹の新曲「あなたはあなたのままでいい」。もちろんダンナの布袋寅泰書下ろしであり、こちらもよくよく聞いてみると、名曲「PRIDE」の続編みたいな歌詞だ。
「終わった人」はもちろんコメディであり、基本的には心温まる夫婦の物語だが、「リング」(1998)の中田秀夫監督というのも注目である。
中田監督はホラー以外もサスペンス系が多いので珍しい。今年11月にも新作「スマホを落としただけなのに」が北川景子主演で公開予定である。"個人情報流出"をテーマにした恐怖サスペンスで、楽しみ。
「終わった人」はすでに、劇場公開3カ月経っているので、再上映というより多くの人はソフトレンタルとVOD配信で観ることになるだろう。賞を獲っているいるからではなく、なかなかの秀作である。純日本的な部分が多いのに海外で評価されるのがおもしろい。
(2018/6/10 /TOHOシネマズ西新井/ビスタ)
「生きること」「人生」を問う良作!!
シニア層の男性1人客、ご夫婦、ご婦人のグループが多く、笑いの絶えない館内であった。
特に、舘ひろし演じる主人公 田代壮介が久里(広末涼子)に翻弄される恋の場面、壮介が妻の千草(黒木瞳)に◯を出されるシーンでは、未だかつて映画館で聞いたことのない爆笑が起こっていた。
私のおススメは自宅ソファで恋を妻子に報告する場面、独りうどんを食べる場面、再就職の面接で出された物を見た時の顔!
鈍感で爪の甘い田代壮介が、舘ひろしの細やかでリズム感の良い演技により、チャーミングで憎めない人物像に仕上がっている。
コメディ部分は思い切り楽しめ、シリアス部分は暗くなり過ぎず、鑑賞後の後味が良い。
しかし、コメディとして宣伝されていた映画ではあるが、『終わった人』の真骨頂は「人間が生きるということ」、「人生とは何か?」と云う骨太な問いを観客に突きつけ、行動を促すところにある。
現役会社員、働き盛りの人々の感想ツイートでは、人生に対して奮起する声が数多く見られた。「新入社員に見せるべき」との声も。
コメディ部分でくすくす笑っているうちに見落としがちだが、この作品は、壮介、久里、鈴木社長(今井翼)、二宮(笹野高史)、16番(渡辺哲)、千草、夢を追う人々の群像劇にもなっている。
年齢や学歴、能力関係なく、避けられない運命、親の介護等の理由で夢潰える人。他人に言われて夢を諦める人。夢叶える人。
人生は、自分の決断と運命が渾然一体となって展開する。
私達は、登場人物達の様々な夢の行く末を客観的に見ることにより、改めてそれを知る。残念ながら、どんなに努力しても『抗えないことが起きるのも人生』だと再認識する。
そして、主人公 田代壮介が、作中2度呟く良寛の辞世の句「散る桜 残る桜も散る桜」、二宮が叫ぶ「生ぎでる!終わってねぇど!!」という台詞が胸に迫るのだ。
人の行く末は大差ない。
成功する事もあれば、失敗する事もあるが、人生に勝ち負けはない。
そして、たとえ、苦境に陥り、困難に遭っても『生』が終わるその日まで、人生は終わらない。生きている間は、終わっていないし、終われないのだ。
その上で、もう一度、あの台詞を思い出してみよう。
「後悔はないんですか?」
タクシーの中で、鈴木社長が田代へ投げかけた問いだ。
抗えないものもあるのが人生。
しかし、「信念を持ち、精一杯生きてきたのか?生きているのか?生きていこうとしているのか?」…。
鈴木社長(今井翼)は、この『終わった人』と云う映画は、そう問うている。
映画初出演となる今井翼が物語のキーとなるベンチャー企業社長を好演。
予想だにしない展開で見せる目の演技が圧巻。
鮮やかな存在感を放つ今井翼の “目の演技”は今後、彼の代名詞になっていくのではないだろうか。
最後に、2018年モントリオール映画祭コンペティション部門での上映おめでとうございます。
憐れ
この物語で、誰か救われる方はいるのだろうか…?
もしくは悟りの境地なのか??
定年まで仕事をして、働いて勤め上げた人への敬意をあまりにも感じない。
なんなんだろ?
新たな世代への忠告とかだろうか?
変な幻想を持つのはやめなさい、社会は何もしてくれない。家庭も居場所は金を稼いできてる間は大事にもしてくれるよ、でも、金を稼げなければ、邪魔なだけだよ、と。
奴隷なのだろうか?
なんだか桜をバックにハッピーエンド風なエンディングだけど、元お父さんの境遇は悲惨なものだ。
借金1千万。
事実上の離婚。都落ち。
何かから解放されてる風ではあるが、そう能天気に構えてられる状況でもなかろう。
元妻の理想というか、方向性というか…全て達成している現状に憤慨する。
警鐘なの?
これが現実とか夢も希望もなさすぎて、第2の人生とか大嘘と断罪してるかのようだ。
ろくでもない旦那として描かれてるなら話は別だがそうではない。
浮気一つせず、専務取締役なんて肩書きもある。子供にも孫にも前向きで、いいお父さんであるように思える。
前半はコミカルタッチに描かれるものの、後半はホラーだよ。
…いわゆる今までの根拠のない幻想を完膚なきまでに打ち砕くような脚本だった。
ある意味、正直といえば正直で、誠意があるといえば誠意がある。
でも、あまりにも…哀しい。
ああいう風にならない為にはどおすればいいのだろうか?今までとは違う精神論が必要になるのかと思う。
「諦めたら楽になる」
そんな事を主人公は言うけれど、諦めた先がアレなら、やっぱり諦める事のリスクの方が多いように思う。
後ろの席の年配のご婦人は笑ってらしたので、女性目線から行くと滑稽で楽しいのだろう…しかしながら、男の行く末を考えたらとても笑っていられない。
まぁ、これから先にも変化があるのだろうから、彼の人生はアレで終わりではないと思いもするが、作品としてはかなり凄惨に思える。
どうせ間もなく死ぬんだから。
生きていく事がまるで無意味に思えた。
◯追記
と思ったが、原作者と監督を見て、なんでこんな感想になったか微妙に納得できた。
男は緩やかに殺されていくようにも見えて、ホラーと復讐という妙なキーワードが浮かんだ。
そんな事思うと、ちょっと新機軸みたいで面白い!
一言で言うと終わりを足掻いてなかなか終わらない人の話、定年後に会社...
一言で言うと終わりを足掻いてなかなか終わらない人の話、定年後に会社顧問や社長、会計担当、妻が美容院開店など一般的には有り得ないドラマ、夫婦の自立物語とも取れるが、借金9千万円も抱えて穏やかに二人でとは現実離れ、終わっていない内館の理想なんか見せられるより本当に終わった人の物悲しくも逞しい生き方を描いて欲しかった。
原作に負けてない面白い映画
来年、定年退職される上司に「面白いからぜひ見に行ってください!」と勧めている映画です。
原作は30〜40代のうちに読んでおいたらいいだろうなと思います。
今の自分の働き方について、立ち止まりながら自分のペースで考えることができるからです。
映画は年配の方々向けかなと思いました。
ああいう終わり方があっても良いと思うんです。
これからの夫婦の形ではないでしょうか。
今井美樹に星🌟
・・主題歌「あなたはあなたのままでいい」
今井美樹さんの変わらない素敵な歌声にエンドロールが1番感動しました・・作品の内容よりもこの先の人生の優しいエールが全てまとめられてる気がしました
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