「憐れ」終わった人 U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
憐れ
この物語で、誰か救われる方はいるのだろうか…?
もしくは悟りの境地なのか??
定年まで仕事をして、働いて勤め上げた人への敬意をあまりにも感じない。
なんなんだろ?
新たな世代への忠告とかだろうか?
変な幻想を持つのはやめなさい、社会は何もしてくれない。家庭も居場所は金を稼いできてる間は大事にもしてくれるよ、でも、金を稼げなければ、邪魔なだけだよ、と。
奴隷なのだろうか?
なんだか桜をバックにハッピーエンド風なエンディングだけど、元お父さんの境遇は悲惨なものだ。
借金1千万。
事実上の離婚。都落ち。
何かから解放されてる風ではあるが、そう能天気に構えてられる状況でもなかろう。
元妻の理想というか、方向性というか…全て達成している現状に憤慨する。
警鐘なの?
これが現実とか夢も希望もなさすぎて、第2の人生とか大嘘と断罪してるかのようだ。
ろくでもない旦那として描かれてるなら話は別だがそうではない。
浮気一つせず、専務取締役なんて肩書きもある。子供にも孫にも前向きで、いいお父さんであるように思える。
前半はコミカルタッチに描かれるものの、後半はホラーだよ。
…いわゆる今までの根拠のない幻想を完膚なきまでに打ち砕くような脚本だった。
ある意味、正直といえば正直で、誠意があるといえば誠意がある。
でも、あまりにも…哀しい。
ああいう風にならない為にはどおすればいいのだろうか?今までとは違う精神論が必要になるのかと思う。
「諦めたら楽になる」
そんな事を主人公は言うけれど、諦めた先がアレなら、やっぱり諦める事のリスクの方が多いように思う。
後ろの席の年配のご婦人は笑ってらしたので、女性目線から行くと滑稽で楽しいのだろう…しかしながら、男の行く末を考えたらとても笑っていられない。
まぁ、これから先にも変化があるのだろうから、彼の人生はアレで終わりではないと思いもするが、作品としてはかなり凄惨に思える。
どうせ間もなく死ぬんだから。
生きていく事がまるで無意味に思えた。
◯追記
と思ったが、原作者と監督を見て、なんでこんな感想になったか微妙に納得できた。
男は緩やかに殺されていくようにも見えて、ホラーと復讐という妙なキーワードが浮かんだ。
そんな事思うと、ちょっと新機軸みたいで面白い!