「「ジョーズのテーマを初めて弾いてもらった時、ジョンの冗談だと思った...」すばらしき映画音楽たち 雨丘もびりさんの映画レビュー(感想・評価)
「ジョーズのテーマを初めて弾いてもらった時、ジョンの冗談だと思った...
「ジョーズのテーマを初めて弾いてもらった時、ジョンの冗談だと思った」
・・・S.スピルバーグ、その時28歳。
観ている間、ずーっと楽しかった(^^)。
映画音楽史の膨大な情報を、なめらかに伝える監督の手腕が見事。
次に紹介されるのが「あの曲/あの作曲家」とわかったときの興奮!たまりません。
各作曲家の特徴紹介にいちいち「それ!正にそれよ!」と言いたくなる。
映画音楽家の仕事の凄まじさと重圧、苦悩、達成した時の感動を、巨匠それぞれの口から聞ける貴重なインタビュー映像にも感激。
たまらずに劇場で二回鑑賞したのでした(^^)。
情報はエンタメ寄りに選ばれていて、カンタンにいえばジョン=ウィリアムズ台頭の前後、というカンジ。
二度の大戦や世界恐慌などの情勢変動による映画業界への影響は割愛。
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【memo】
はじめは、映写機の作動音をごまかすためのオルガン即興演奏だった。
やがて、映像のチープさを補う目的でオーケストラ演奏が当てられるようになり、
ついには、物語そのものをドラマティックに語る役割を担うようになる。
「テーマソング」の誕生も重要。
荒野の用心棒、007、ロッキー、ロードオブザリング、
クラシック音楽の"ライトモティーフ"をヒントとして、ある音型パターンが "キャラクターの性格や内面を説明する" 役割を果たすようになる。
もはや、音楽なくして映画は成り立たない。
「サイコ」のバスタブシーンも、「ジョーズ」の水中シーンも、
音楽が無いと、何がおきているのか?まったくわからない。
音楽が付くことで、ストーリーの風向きや状況が補足説明されると、映画がとたんに面白くなる。
「スーパーマンが空を飛べるのは、バックにジョン=ウィリアムスの曲が流れるからです!(笑)」
音楽が人体に及ぼす影響について、脳科学の見地から分析が加えられる。
音楽に反応する脳の部位は人それぞれで、まだ一定の法則が解明されていない。
にもかかわらず、ある映画を観た客がみんな同じ気分になり、
視線の誘導(客の視点を、画面の注目して欲しい箇所に移動させる演出)に効果を発揮するのは、
鑑賞者が音楽の強い影響下にあるからだという。
(視線の切り替えは、90分の映画で2万1000回以上)
劇演出という大役を担う映画音楽。
携わる音楽家たちへのプレッシャーは凄まじい。
「オファーがある度に、ジョン=ウィリアムスに頼んでくれ!って言って断りたい衝動に駆られるんだ」とハンス=ジマー。
「レコーディングの唯一の楽しみは10分休憩」とスタジオミュージシャン。
「それでも、歴史に残る音を作り出せた時の興奮はたまらない。」
「ワイルドスピード」のテーマなどを手掛ける作曲家ブライアン・タイラー。
「プレミア上映会の密かな楽しみは、ちょっと恥ずかしいんだけど、終演後、トイレの個室に隠れることだ。」
「見終えた観客が、僕の作ったテーマ曲を鼻歌しながら用足しにやってくる・・・その様子が、とても嬉しくて」
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中盤、場面状況説明や人物の心情描写に、音楽がどれだけ効果的かを解説するシークェンス。
E.T.の最後のシーンがまるまる使われてるんだけど、なんかもうそこだけで、ごめんなさい私ダメです(泣)
フルートの音色、アウチ......アウチだわ。