「映画音楽は永遠に」すばらしき映画音楽たち 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
映画音楽は永遠に
映画に欠かせない“映画音楽”についてのドキュメンタリー。
自分は映画音楽が大好きで、スタッフをチェックする時監督の次に作曲家は誰かと気になるくらいなので、本作はもう興味津々!
彼ら作曲家や映画製作関係者が語る映画音楽の魅力、映画音楽の歴史、作曲風景、さらには神経学者が映画音楽が人体にどんな反応を与えるかまでをも証言。
とことんディープに映画音楽に迫る。
とにかく出るわ出るわの著名な作曲家たち。
その人数50名近く、映画好きなら興奮してしまうほど。
アレクサンドル・デスプラ、マルコ・ベルトラミ、ジャンキー・XLら売れっ子、新進気鋭。
エンニオ・モリコーネ、ハンス・ジマー、ランディ・ニューマン、ダニー・エルフマン、トーマス・ニューマンらベテラン。
アルフレッド・ニューマン、アレックス・ノース、ジョン・バリー、バーナード・ハーマン、ジェリー・ゴールドスミスらレジェンドたち。
名作の名シーンと共に数々の名曲も。
「キング・コング」「めまい」「サイコ」「007」「猿の惑星」「続・夕陽のガンマン」「ロッキー」、「タイタニック」「ロード・オブ・ザ・リング」「パイレーツ・オブ・カリビアン」「マッドマックス 怒りのデス・ロード」…。
これらを一本の映画で聞けるのだから、何とも贅沢!
中でもやはり、ジョン・ウィリアムズは特別ピックアップされている。
「JAWS」「スター・ウォーズ」「未知との遭遇」「スーパーマン」「インディ・ジョーンズ」「E.T.」「ジュラシック・パーク」…。
オーケストラによる映画音楽を復活させ、いかに彼が尊敬されているか。
監督や映画関係者、映画音楽評論家は言う。
映画音楽が無ければ、映画はこれほど見る者の心に響かないと。
演出・演技・映像・脚本では表現しきれない部分を音楽でより効果的に高める、映画の代弁者。
しかし、当の作曲家たちは違う。常に、プレッシャーに押し潰される日々だと言う。
まだ作曲中なのに、自分が音楽を手掛ける作品のポスターを見るとゾッとする。
スケジュールも限られてるのに、何のアイデアも浮かばず楽譜が真っ白だと自分の無能さを呪う。
ハンス・ジマー曰く、「ジョン・ウィリアムズに変わってくれと断りたいくらい」。あのハンス・ジマーほどのベテランが!
そうやって死ぬほど悩んで産み出される数々の名曲。
だからこそ、我々の心に響く。
ワクワクするような高揚感満点の音楽も、スリルいっぱいの音楽も、ハートフルな優しい音楽も、涙を誘う悲しくも美しい音楽も。
時代ごとに映画音楽は変化していく。
トレント・レズナー&アッティカス・ロスといった映画音楽を専門としない外部の作曲家たちも近年は躍進。楽器も作曲方法も様々。
かつてのオーケストラによる映画音楽だけを誉め称えるのではなく、新たな才能による映画音楽の可能性を謳っているのもいい。
誰だって一曲や二曲、好きな映画音楽はある筈。
と言うより、映画好きに映画音楽嫌いはまず絶対居ない!
見てたら、日本の映画音楽ドキュメンタリーも作ったら面白くなると思った。
日本にも天才的な映画音楽家たちは星の数ほど居る。
伊福部昭、武満徹、早坂文雄、芥川也寸志、佐藤勝…。
現在も活躍中の久石譲、坂本龍一、岩代太郎、佐藤直紀、加古隆、安川午朗、川井憲次、服部隆之、遠藤浩二、大島ミチル、菅野よう子、富貴晴美…。
名前を挙げるだけでもう曲が浮かぶ!
カリコレ上映作。
WOWOWにて先行放映。