リズと青い鳥のレビュー・感想・評価
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アニメーションだからできること
凄いよ。この映画は凄いところが沢山あります。
まず作画が凄い。表情の微妙な変化や歩き方、姿勢だけでキャラクターの性格や関係が分かるって本当に凄いことだと思う。さすが京都アニメーションって感じですね。アニメだからこそ目だけをドアップで映し出されても嫌悪感はないし目で演技もできる。悲しいかな実写化は不可能でしょうね。
そして音楽。本作は吹奏楽部での青春のため必然的に音楽シーンが多くなるわけです。それがねまた凄い。劇場で見なかったことを後悔するレベル。「映画けいおん」を見たときにも思ったんですが本当に凝られているんですよね。一度目の演奏と二度目の演奏は本当に違うし音質もオーケストラがすぐ間近にいると錯覚するレベルのクオリティです。
そして声優さん達の演技ですよね。主役からモブまで違和感なく聞けるので映画に没頭できます。特に東山奈央さんにはびっくりしました。「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている」のガハマちゃんしか知らなかったのでこんなに静かな役もできたのかと驚きました。(ガハマも静かなシーンはありますけど所々ギャルっぽさが出ているのでね。)
二人が本音で話すシーンでは自然と涙が出てきます。
是非ご覧ください。
あまりに繊細ででもしなやかな細い糸のような。
登場人物の瞳の動き、一束の髪の揺れ、歩き方。
作中で説明的な描写はほとんどなくとも、そこから様々な心の動きが伝わってくる。
そしてそれを受け手がじっくり受け取って考える間(ま)もたくさんとられている。
作画の美しさ、繊細さ、あまりに丁寧な人物の描き方。
すさまじく美しいアニメーション映画だった…。
特に人物の目。目の描き方。素晴らしい…。
繊細で静かな作品ながら、メイン人物のみぞれと希美の関係は最初から危うさがあって、作品全体にずっと緊張感がある。静かに、でもハラハラしながら2人の関係のゆらぎと行く末を見守る90分だった。
あと2人をそばで見守る夏紀と優子の同学年コンビが本当に良い。こんな良い同級生に恵まれたらいいよね。
2人の関係に重なりながら展開していく「リズと青い鳥」というストーリーと楽曲もとても素敵だった。
弱く儚く強く脆い
この作品を観るとき、覚悟をしてから観始めた。
今作を観る前に『響け!ユーフォニアム』の二期を観ていて最終回に別れのときの意味分からないけどなんか泣けてくる感覚に陥り泣く寸前だったからだ。
そんな状態で観たら涙腺崩壊しそうだったので覚悟した。
冒頭の友達と歩き朝練へ行き楽器を吹く。そんな日常を淡々と描き、特に感動要素無いのに何故か泣きそうになる。
『聲の形』のときにもなったけど、何故だか山田尚子監督作はどうってことない日常を描いているだけなのに喉が締め付けられて涙が溢れそうになる。
短編映画的な情緒深いカットで観ているだけで画面に引き寄せられる目に見えない「力」がある。
その力は繊細で優しくて儚い。
この「力」はいったい何処から来ているんだろう?と気になって作品を分析しようとしたがこりゃダメだ。
分析すればするほど何故だか胸を締め付けられて泣きそうになる。そしてどんどん力の正体は離れていく。
本当にこの力はなんだろう。
美しいアニメーションと繊細で弱く美しく強い少女の心情を言葉ではなく、演出として表現していたり、軽く楽しいようでいて、何処か切ない牛尾憲輔の音楽によって創りだされている「力」だと思う。
でもどんな力かは分からない…
分析するために作品を思い出す度に泣きそうになるし。
とにかく断言出来ることは山田尚子監督の才能は素晴らしいということだ。
あと音がめちゃくちゃいい!
家の2.1chのスピーカーでもまるで映画館みたいに音が駆け巡っていた。
それとオーボエね。
自分がリズではなく、青い鳥なんだと気づいたときの演奏が半端ない。
素人が聴いても「さっきと全然違う」と感じるし、「繊細で力強い」とも感じる。
あのオーボエの音は確実に脳天をぶち抜かれた。リコーダーすら怪しい自分がオーボエを吹いてみたくなった。
全体的にジブリ作品とも通じる絵本のような世界観と画で夢のようであり現実的でもある幻想的な作品という印象。
とにかく繊細で美しい。
ん〜。やっぱり京アニは刺さるな〜。
なんでか知らないけど、『聲の形』を観てから涙腺が弱くなった気がする。
汚れた心を浄化されたからかな。
だとしからこの『リズと青い鳥』を観たあとは更に涙腺が弱くなるじゃないか!?
ありがたいような困るような…
まぁとにかく今作は文句なしの傑作です!
年がいもなく結構しみました
多感な時代の少女たちの心理描写。
おじさんには絶対理解できていないと思いますが、みぞれの心情だけでなく一見陽気で悩みなんかないような希美の繊細な心の動きが細かく描写され心にしみました。
もともと定評のある映像美も十分堪能できました。本当に美しい画面に感動しました。
京アニの再興を心からお祈りします。
絵も綺麗、演奏も良い
しかし綺麗すぎてキャラクターが人形に見える。血は汚いから抜いちゃいましょうね〜って、中身抜かれたツルツルのセルロイドのお人形。実在感が無い。
演奏に語らせる為に、声の演技で「語らせない」ことは評価すべき点だが、前述の理由でどうにも登場キャラが好きになれず。
いやいやいやいや、もっと喋れや。
コミュニケーションをサボってるようにしか見えません。しかも口を開いたらど依存だし。
(うーん、こりゃ単なる凡人の嫉妬ですなあ。)
第三楽章はすごかったですよー
切なさと温かさを感じる秀作です。
吹奏楽部部員の少女二人が織りなす、友情と微妙なすれ違いを描く物語。
劇場でも鑑賞していますが、その後BS放送を録画したものを再鑑賞。
「響け!ユーフォニアム」のスピンオフですが、単体で鑑賞に堪えうる映画でした。
みぞれの、のぞみに対する愛情に似た友情。それに戸惑うのぞみ。
のぞみの、みぞれに対する嫉妬。その嫉妬の感情に戸惑うのぞみ自身。そしてみぞれ。
決して分かり易い描き方はしていないと思いますが、そんなすれ違いが映画全体、画面全体に描かれていて、心に迫ります。
私は男性で、しかもアラフィフすから、少女の友情について「分かる」とは言えません。寧ろ理解出来ないと思います。
そんな私でも「切なさ」と、「寂しさ」と、「温かさ」を感じることが出来た、とても素晴らしい映画でした。
【京都アニメーション制作作品、初鑑賞作品。その繊細な世界観に一発で魅了された作品である。】。
- 公開から2カ月後に鑑賞。-
・理由は絵柄から、自分とは合わない世界だと勝手に思ったからである。
・が、映像が流れはじめ数分後に直ぐに自らの誤謬に気付く。
・素晴らしきアニメーション制作会社”京都アニメーション”を知った作品。
<2018年7月1日 劇場にて鑑賞>
10代ならぐっときたかなあ
誰もいない教室
昼過ぎの陽光の差し込む廊下
ひらめく制服のスカート…
光の早さで過ぎてしまう若い時間きらめく時を切り取った儚さは端々に感じるのですが音楽の話だから動きは少ないですね その分女の子の顔が可愛いので画面に華がないってことは全然ないんですけど どこかで涙をこらえてガムシャラに廊下を走るような想いと動きがシンクロするシーンが欲しかったな〜と思ってしまう
エンドロールの曲がメチャ良くて聴きながらDLしてしまいました homecomingさんファンになりそう
タイガーマスクからリズと青い鳥へ
見終わって、ため息が出た、
日本のアニメーションはどこまで行き着くのだろうか!
かつてのアニメーションはこうだった
①紙芝居の背景の前でペプサートを動かしてみせた「タイガーマスク」
②ぬり絵がしゃべる「サザエさん」
③メッセージ性が最前線に現れつつもその物語の真実性を裏打ちさせるため自然界描写に披写界深度を与えた「もののけ姫」
④ストーリーよりも視界に存在する光景を絵画の手法で極限まで追及する「言の葉の庭」、これは視界にありつつも見ていなかった景色を再発見する試み
そして
⑤形ないものを絵という言語で表した「リズと青い鳥」だ。
京都アニメーションは「聲の形」で“耳の聞こえない少女に聞こえている世界を語らせる”という冒険に挑戦したが今作「リズ~」ではとうとう見えない領域の、そして語らぬ思いの無言の言葉を絵において語らしめるという領域に達してしまった。
日本のアニメはもはや文学のカテゴリーに区分される時代に到達してしまった。
万年筆やキーボードで著される文学ではなくアニメーションによって表現される文学だ。
ボブ・ディランの受賞には驚いたが、いつの日か「ノーベル文学賞」をよもや日本のアニメプロダクションが受賞するのではないかと、そんな気がしてきた。
映像と音楽が素晴らしい
ブラスバンドを題材にした映画によくある青春物語をイメージしていましたが、少し意表をつかれた感じでした。
印象としては音楽と映像が秀逸です。
登場人物の仕草や表情がアニメならではの映像で繊細に描かれ、言葉に頼らずとも微妙な心境の変化を上手く表現しているなと思いました。
私は楽器に関してはあまり詳しくありませんが、フルートとオーボエという二つの楽器が二人の心情と上手くリンクしているような気がしました。
ハッピーアイスクリーム?
「ハッピーアイスクリーム」って、まだ存在してたんだ!という驚きがあった。原作者の武田綾乃は90年代生まれだから知らないはずだし、脚本の吉田玲子の世代だったんだな。死語になってたかと思ってたこの言葉が伏線として生かされていたことにも感動した(また流行るのかな?)。『響け!ユーフォニアム』は気になってはいるけど未見。そのスピンオフ作品らしいのだが、初見でも満足できる内容でした。
鎧塚みぞれという高3少女。オーボエという吹奏楽部の中でも目立たない楽器ではありますが、この作品では存在感ありすぎ。孤独で物静かなキャラなみぞれ。どことなくエヴァの綾波レイとか、涼宮ハルヒの長門有希のような雰囲気(想像してしまうと希美がアスカやハルヒに見えてくるので注意)。劇中童話のリズに自分を照らし合わせるようになり、希美をイメージした青い鳥とは対照的な孤高の女子高生。2人の関係はガールズラブの一歩手前でもあり、直接的ではないため、愛を伝えられないもどかしさを感じてしまう。
挿入される童話の世界は水彩画タッチで描かれ、ストーリーの中に溶け込んでしまい、希美目線で始まっているのにいつの間にかみぞれ目線で追ってしまう。好きだから青い鳥を解放するんだという真意がつかみ切れてないみぞれ。先生からも教えられ、音大パンフを渡されなかった希美の気持ちも伝えられ、ようやく自分の立ち位置が理解できるようになっていく。そして終盤には2人のリズと青い鳥の関係は逆だった!と・・・。
それにしてもフルートとオーボエの掛け合いは絶対的にフルート優位だと想像していたのに、これほどまでにオーボエが際立っているとは・・・。みぞれがそこまで上手いという表現なんだろうけど、音楽の作り方も上手かったのですね?と、疑問形にしてみた。
あまりにも女々しい
詳細忘れましたが…
鑑賞直後はあまりの女々しさに辟易しましたが、鑑賞後しばらく寝かせた今はこう思うのです。
こんなにみっともない映画だから、未だに私の胸に刺さっているのだと。
見てすぐに書くレビューが正解とは限らないよね?
数年後も俺の心に残ってなきゃ、名作の資格はないぜ。
学校という閉鎖環境の中で、共依存とも思えるみぞれと希美。思春期の歪...
学校という閉鎖環境の中で、共依存とも思えるみぞれと希美。思春期の歪な友人関係は誰しも覚えがあるのでは。二人が成長し、自分の生き方をすこし見いだす最後にホッとする。
少女たちの切なくも美しい友情を描いた傑作
『リズと青い鳥』★4.5
(東京近郊の方は10月26日まで立川シネマシティで極上音響上映やっているので観に行こう!金は出す!)
傑作『聲の形』の山田尚子監督×吉田玲子脚本の最新作。京都アニメーションの人気アニメ「響け!ユーフォニアム」シリーズのスピンオフながら、前作の知識がなくても本作だけで楽しめる独立した1本の作品になっている。
物語は高校の吹奏楽部に所属する2人の少女の友情を美しい映像で描いた青春劇。
本作で描かれる少女たちの友情はガラス細工のように繊細だ。ほんの少しバランスが崩れるだけで壊れてしまいそうな儚さがある。しかし、そうであるがゆえに美しい。思春期の少女たちの間でしか成立しえないであろう、奇跡のような瞬間のきらめきを切り取っている。しかし、青春時代にはいつか終わりが来る。少女たちは高校卒業後の進路という現実に向き合うことで、それまでの関係の見直しを余儀なくされる。
タイトルの「リズと青い鳥」とは物語内に登場するオリジナルの童話と同名の楽曲からとったもの。孤独な少女リズと彼女のもとにやってきた青い鳥との出会いと別れの物語を少女たちは自分たちに重ね合わせる。内気な少女・のぞみは自らをリズ、活発な親友・希美を青い鳥だと思っていた。孤独なリズが青い鳥との別れを選択することが理解できず悩むみぞれ。しかし、とあるきっかけで自分こそが青い鳥だったのではないかと彼女は気づく。自分が翼を持つ自由な鳥だと気付いたのぞみは自らの思いを演奏にのせる。
愛しているがゆえに、相手の幸せを願うがゆえにリズは青い鳥との別れを選択する。鳥は大空を自由に羽ばたいている姿こそが最も美しく輝いているから。
そばにいることだけが愛情の形なのではない。相手が最もその人らしくいられるような距離をとることも必要なのだ。
友情とも愛情ともつかない共依存的な関係から抜け出した少女たちは異なる進路を選択する。この先に待っているのは別れである。しかし、別れを選択することで、むしろ彼女たちの関係は以前よりより強固で明るく力強いものになった。
少女たちは2人ともが相手の幸せを願い、自らの小さな幸せを手放せるリズであり、同時に幸せに向かって羽ばたける翼を持った青い鳥なのだ。
青春映画、アニメ映画、百合映画?(個人的には百合とは思わない)の金字塔であり、2018年暫定ベスト映画。12月に発売するBlu-rayはもちろん購入します。
『聲の形』『リズと青い鳥』と傑作を2本連続で送り出した山田尚子監督と脚本の吉田玲子さん(最近話題の『若女将は小学生』もこの方!)の実力は本物。一生着いていきます!
https://youtu.be/lQxwNaoFdQQ
time to fly
観るのが辛い重苦しい展開。心理的従属関係。絵に描いたように快活な希美と内気なみぞれ。極端な構図。しかし、だからこそ倒錯が際立ち、本作のテーマが浮き彫りになる。その倒錯表現の見事さ。絵の表情だけではなく、演奏で魅せる。それまでの重さが見事に吹き飛ぶ。
ディテールを時間をかけてしっかりと描きこむ。みぞれの一方的な心理だけではなく、希美の苦悩もしっかりと呼応する。周囲の描き方も秀逸。続いて傑作を放つ山田尚子と京都アニメーション。最も注目されるべき日本の作家かもしれない。
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