「アンセル・エルゴートがはまり役」ベイビー・ドライバー 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
アンセル・エルゴートがはまり役
カーアクションをまるでミュージカルのように音楽に合わせて撮るという発想は面白い。しかし、やはりキャラクター造形がピカイチの作品だと思っている。主人公のアンセル・エルゴートが演じたベイビーが本当によく作ったなと感心するほどに面白いやつなのだ。凄腕のドライバーで、事故の後遺症の耳鳴りを防ぐために音楽を聞き続けていて、ベビーフェイスの若者だ。行きつけのレストランでウェイトレスに一目惚れし、ゲッタウェイのごとく逃げる計画を立てて、強盗のボスを出し抜いていく。悪党に力を貸しているけど、本心から悪党ではない。そんな主人公を引き立てる脇役の異様な個性派が揃っていてキャラ立ちしている。一人も類型的な人間は出てこない、ぶっ飛んだ個性で生き生きとしていて、観ていて楽しい。
アンセル・エルゴートはこの役のために生まれたんじゃないかと思えるほどにはまっていた。ダンスの心得もあるので、リズム感が良くて、彼のその身体がこの映画の魅力を支えたと思う。
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