劇場公開日 2018年2月3日

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「黒澤作品『生きる』を思い出すが、寝た」blank13 曽羅密さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0黒澤作品『生きる』を思い出すが、寝た

2018年6月8日
PCから投稿

ただただ退屈な作品。
 ちょうど折り返しの葬式のシーンから先は結構寝てしまった。

 監督の斎藤工は俳優として特別光る役者という印象はないが、シネフィル(映画狂)であるのはたしかだと思う。
 映画の随所にハッと思わせる画角のシーンやショットがいくつもあった。

 葬式以降から参列者が生前の主人公を語って彼の人生をたどる手法は黒澤明が『生きる』で取ったものと同じである。
 黒澤は時系列で語るとしまりがなく間延びして作品からテンポが失われることに気付き、末期ガンだった主人公を物語中盤であえて殺して葬儀参列者の証言を再現することで、時系列に縛られずに死者をいきいきと蘇らせる劇的な効果を生むことに成功した。
 本作は上映時間が約70分と短いので、『生きる』と同じ手法を用いたことにそれほどの効果があったかは微妙だ。
 葬式から急にコメディ要素を強くしたのもいささか奇をてらっているようにも感じる。
 しかしいかんせん寝てしまったので、正直なところ眠い作品だったとしかコメントできない。

 俳優や他業種の人間が多数今までにも映画監督をしているが、長年監督を続けて成功しているのは日本では北野武(ビートたけし)ぐらいしか思いつかない。
 奥田瑛二や役所広司も過去に映画を監督しているのだが、片手で数えられる程度しか制作できていないのが現状である。
 僕は作品の評価など、どんな駄作であってもその監督が継続して作品を作り続けていって高評価の作品がいつか作られれば簡単にくつがえるものだと思っているし、むしろ駄作しか連発していなくとも作り続けること自体に新たな意味が生じて評価されるものだと思っている。
 だから斎藤工にはこれからも映画を監督し続けて欲しい。

寝てしまったこともあり今のところはどうにも評価できない度:8

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曽羅密