「愛してるから許せなかった」blank13 彬さんの映画レビュー(感想・評価)
愛してるから許せなかった
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翌日、目がパンパンになってしまうくらい泣きはらしてしまった。
すすり泣く声と笑い声が劇場内に同時に響く面白い映画だった。
タイトルの後のがらりと変わった演出も面白い。
高橋一生さんを非常に美しく撮るなぁと感じたし、どの役者さんも自然な表情でまるで本当にそこに生きているようだった。
大嫌いな父親とのあの微妙な会話、空気感、距離感。ものすごく共感してしまった。
どんなに許せなくても、いざ目の前にしてしまうと間抜けな会話しかできないもので、すごくリアリティがあった(実話だから当然かも知れませんが)。
愛していたからこそ許せない。
しかし、許せないという感情はいつか乗り越えなくてはいけないというのも大人になると、頭のどこかでは分かっていて、許せていない、乗り越えていない自分に苦しんでしまったりする。
葬式の最後の挨拶で、兄弟はあの舌足らずな挨拶をもって一歩前に踏み出した。それにもう泣けてしまった。
子役たちもいい。
必死になってお弁当を作り、新聞配達する。
子供は自然に大人にはならない。
大人にならなくてはいけない時に大人になる。
彼らは幼い時に大人にならなくてはいけなかった。それがまた健気で、切ない。
瞳の美しさが、大人になっても変わっていないことに、また泣けた。
ダメ親父の典型のような父親かも知れないが、その瞳の美しさを残したのは、ダメ親父である父であったのもまた事実であるから。
次はどんな映画を撮るのか楽しみです。
大人に観て欲しい一本でした。
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