「ある母の復讐劇」女は二度決断する odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
ある母の復讐劇
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テロリストに家族を殺され復讐する映画と言ってしまっては身も蓋もなかろう。
監督の友人家族が実際にNSUのテロで殺されており社会問題として描きたかったと思われる、従ってリベンジ・アクション・エンターテインメントと期待して観ると裏切られる。
主人公はタトーだらけで薬もやるし夫婦そろっていわくつきに描くから同情の度合いにバイアスがかかる。テロリストも狂信的思想に染まっているとはいえ普通の若夫婦にしか見えない描き方、これはある意味NSUのリアルな側面なのだろう。
悲しみに暮れる主人公や家族の描写を延々見せられるのは辛い上に有利と見せてひっくり返す理不尽な裁判結果、とことん焦らすプロットには失望を禁じ得ない。残酷さを訴えたいのだろうが息子の死体検分調書を事細かに読み上げるシーン、ここまでやる必然性が分からなかったがラストまで来て悲しい結末への誘いと理解した。これはある種ドキュメンタリーとしてみないといけないのだろうが、であれば敬遠していたかもしれない。
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