The Beguiled ビガイルド 欲望のめざめのレビュー・感想・評価
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冷ややかな作品
この作品には既に原作があるようで、それをソフィア・コッポラが再解釈・再構成した形になる作品。
原作ありきのストーリーなので、予告編からもう展開丸わかり。予告編みれば80%鑑賞した気分になれる。ネタバレもクソも無く『オリエント号』と同じ道を辿ることとなった。
正直薄すぎてあまり伝わってこなかったが、何か得ようと思い見出した魅力とは、白と黒の対比の美しさであろうか。それは暗い森の中に白く佇む彼女らの姿を描く映像美でもあるし、ストーリーのモノクロの強い対称はキリスト教的な禁欲主義の偽善と「欲望のめざめ」を描く自己矛盾的なコントラストだ。それはそれで面白いのだが。それでも彼女らの「欲望のめざめ」は非常に中途半端な結果となっている。
それでもカンヌを取った理由が知りたく、コッポラ作品『ブリングリング』を観たが、これが稀に出会う「紙」映画ときた。ガーリー・カルチャーの重要人物として女性の憧れの対象となっているようだが、正直、ただ権利を主張したいだけの見苦しいフェミニズムとしか思えない。しかし今回は、流行りのヒューマンスリラーに自らの女性主義を乗せたら成功するだろうという画策はどうやら上手くいったようである。
女性の参画が進む中『ワンダーウーマン』や『ELLE』などの名作も出る中で、このような見苦しい作品もあるのかと。人類は本来平等ではないのに。流石に本作品と無関係なものについてここでアレコレ不満を垂れても仕方がないのだが、正直これではフェミニズムなど、重要視する必要がどこにあろうかと思われても仕方がなく、ソフィア・コッポラを崇める彼女たちの姿はまるで、instagramという虚構の世界で内輪で盛り上がる女子たちの、非生産的かつ目も眩む色彩に溢れた凍て付く世界である。
けっこう面白かった
『白い肌の異常な夜』みたいな映画だなと予告を見ていた時に思っていたら同じ原作とのことだった。コリン・ファレルはイーストウッドほどめちゃくちゃじゃなかったのに悲惨な展開を迎えて気の毒だった。映像の感じが素晴らしくて本当に南北戦争の当時にタイムスリップしたみたいな雰囲気だった。女性の性欲を変に煽るととんでもないことになるとリアルに怖くなった。南軍の兵士が「銃を持った怯えた女性ほど危険なものはない」と名言を述べていた。
いつものソフィア コッポラ
こんなに面白くなる題材を、豪華キャスト、美術、スタッフを使ってスッカスカな映画を撮る…、
後悔、反省も起伏すら無い、カットだけにこだわっただけ(しかも監督だけの満足としか思えない、長回し)で、エンターテイメントを完全に無視、
こんなのでカンヌとれるのが不思議で仕方がない…
ソフィア・コッポラの作家性が如実に表れた一本
『白い肌の異常な夜』のリメイクというより、原作小説の二度目の映画化と言った方が適切。
『白い肌』のクリント・イーストウッドが男らしさや逞しさで女性達を手玉に取ろうとするのに対し、本作のコリン・ファレルはセクシーさで女性達を惑わそうとする。
そして女性達の中でも重要なキャラとなる女性を、ソフィア・コッポラ監督作の常連で半ば分身的存在のキルスティン・ダンストに演じさせているのもポイント。
ファザコン的ニュアンスも含んでいるあたりもコッポラらしい。
原作が別にあるのに、彼女の前作『ブリングリング』の焼き直しにもなっているという…本当に作家性って出るものだなと感心。
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