「いつものソフィア作品と似ているようで、かなり違う」The Beguiled ビガイルド 欲望のめざめ ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
いつものソフィア作品と似ているようで、かなり違う
女性集団の中で織り成されていく空気。その一点で見るといつものソフィア・コッポラ作品と全く変わらない。ただ、この空気が永遠に続くのかと思いきや、今回はかなり大きなドラマが巻き起こる。ジャンル的にもゴシック・スリラーに分類される本作だが、これほど後半の仕掛けがうまく炸裂するのも、冒頭から緻密な映像美を積み重ねていくからなのだろう。
そこに投入されるコリン・ファレルは、誰からも人好きのする純朴さを持った男だ。女性たちもまた彼を親身に看護しようとする。その良心と良心の間に、様々な奇妙な心象模様が生まれていく過程がスリリング。そして、ハッとするような神々しい光が差し込む寄宿舎は、いつしか牢獄のような閉所感へと変化を遂げる。これにはヨーロッパビスタ・サイズがもたらす心理作用がかなり効いている。
隅から隅までソフィアの創造性が発揮された本作は、これまで以上に噛み応えとパンチの強さを秘めた一作なのだ。
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