「上質なロマンティック・ファンタジー」今夜、ロマンス劇場で odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
上質なロマンティック・ファンタジー
スクリーンのヒロインに恋をする物語と聞いて、少女マンガのお話かと正直観る気がしなかった映画。お正月から殺漠としたバイオレンスも気が進まないので選んでみました。ところが観てびっくり、ファンタジーなのにごく自然に物語に引き込まれるし、脇を含めてキャスティングが最高、プロットもお伽噺とリアルな世界を行ったり来たり、見事にアンサンブルしていました。
癖の強い俳優さんも出ているので少しは拗れるのかと思ったら、全員善い人というのも無駄に神経を使わなくて済むのでありがたい。2つの結末というのも評価は微妙ですがハッピーエンド好きは大満足でしょう、こんな手があったとは。
柄本さんまで同様の経験があったようで、シネマの女神様は面食いではないご様子、太っ腹ですね、ロマンス劇場というよりミラクルシアターなので実際には無理としても一途な映画ファンには初夢でデートくらいのご褒美があるかもしれませんね。
フジTVの稲葉直人さんがAP時代に「ハッピーフライト」の綾瀬はるかさんに惚れ込んで10年近く温めてきた企画、ロマンス要素は恋愛本も出されている脚本の宇山佳佑さんの感性でしょう、コメディ要素の上手さは監督の武内英樹さんならではですね。みなさんお若いテレビ畑の方なのにすこぶる映画通、数々のオマージュには驚いた、窓越しのキス(また逢う日まで:昭和25年)なんてまだ生まれていなかったでしょう。
図らずも劇中の流れに沿うかのように加藤剛さんも逝かれてしまいましたが映画の主人公さながらにピュアな青年のままお年をとられたような凛とした魅力が心に残りました。
ディズニー映画にも引けを取らない上質なロマンティック・ファンタジーが邦画でも可能ということを知り、遅まきながら認識を改めました、感謝感激です。