「期待しすぎたので…」検察側の罪人 雨さんの映画レビュー(感想・評価)
期待しすぎたので…
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俳優さんの熱演はわかったし、単純にそこのみを見れば楽しめるのだとも思う。けれども、なんとも消化不良で、前評判で期待していた分、残念感が増してしまった。
ベテラン検察官として多くの人間の不幸を見てきたはずの最上が、自分の周りを不幸にし、優秀な後輩の人生をも巻き込み、現実に眼の前で起きている殺人事件の解決に目を瞑ってまで犯す罪(正義)。そこに向ける葛藤がなんで深く描かれないのか不可解。
細かいことはいろいろ感じたが、テーマに繋がる心理の描写が浅くて残念。社会派映画なら、尚のこと積み重ねていく事実にリアリティが必要だと思うのだが。そして、エリートの仮面をつけつつ罪に落ちていく最上の内面の狂気をもう少し見たかった。
あとひとつ言うと、舞台で言うところの大道具や装置が気になった。ボーリング場はもっと廃れた感じが欲しかったし、別荘はもっと埃っぽさが欲しかった。そういうところが私には残念だったが、演出意図があるのだろうか?全体に乱雑なところでさえ綺麗だった。
原作を未読なので読んでみようと思う。もしかしたら原作による縛りがあるのかもしれない。
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