劇場公開日 2018年8月24日

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「本作は反憲法改正映画なのか?」検察側の罪人 曽羅密さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0本作は反憲法改正映画なのか?

2018年8月28日
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前作の『関ヶ原』でも主役に岡田准一を起用した原田眞人が監督した本作、やはり今回もジャニーズ俳優を2人起用した。
原作どおりなのか、アリバイを見抜くプロがあれほど杜撰な計画を立てるものなのか?と首をかしげたくなる演出はおくとして、おおむね出演者たちの演技力は平均以上ではあるが、ただ1点気になることがある。
本作に大東亜戦争(映画の中では太平洋戦争)を絡める必要はあるのか?

しかも「この国はまた戦争をしようとしている!」と何回も俳優に言わせたり、実は何も客観的な検証がされておらず単に「死の行進」だったと言われ続けているインパール作戦が作品の大きな要素を占めていたり、むしろこちらの今さらながらの戦後民主主義まる出しの戦争観の方が気になってしまった。

安倍総理を思わせる与党大物議員やネオナチと関係の深い国会議員の夫人まで登場する。
チャイナへの甘い対応や移民政策の推進など近頃の安倍政権を国民の代表として信頼できない面も多々あるが、そこまでして本作は次の総裁選で安倍総理に勝たせたくないという主張をしているのだろうか?
世界的にグローバル経済や移民政策への反対の声が高まるにつれ、それを押さえ込むような形で近年欧米で多造される反ナチス映画が悪趣味に映ることとかぶって見えてしまう。
なんだか是が非でも憲法を改正をさせたくないというメッセージを発している作品に思えてしまった。

原作を読んでいないので原作も同じなのか気になるところではあるが、原田監督は前作の『関ヶ原』においても原作にない謎の朝鮮押しをした前歴があるので、正直信用できない。

なお日本人にとって日本は「この国」ではない。
「わが国」である。
原田監督はアメリカで映画制作に携わっていた経験もあるはずだが、アメリカでも日本のことを「this country」や「that country」とでも呼んでいたのだろうか?
「What country?」と聞き返されるのがオチで、必ず「my country」や「our country」と言っていたはずである。
今やわが国では、映画の中でもテレビでも「この国」という言葉しか聞かなくなって久しいが、本作を観て余計に、日本が日本人にとって「どの国」なのか今一度改めて問い直す必要を強く感じた。

作品から「わが国」を感じない度:10

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曽羅密