「中川大志くんがすばらしい!」坂道のアポロン おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
中川大志くんがすばらしい!
原作未読、TVアニメを少し見たことがある程度で、ほぼ予備知識なしで鑑賞してきました。そのため、原作のよさが生かされているのかはわかりませんが、懐かしさで心が温まるような、とてもよい作品だったと思います。
主演の3人がジャズを通じて心を通わせ、ちょっとしたことですれ違い、勢いのまま距離を置き、またお互いを求めて絆を確かめあい、一生ものの友情を育んでいくさまが、本当に丁寧に描かれています。自分の青春時代を自然に思い出しましたが、似たような場面が見つからず、ただただうらやましく思いました。
派手な展開があるわけではありませんが、ここまでスクリーンにくぎ付けになったのは、中川大志くんの演技によるところが大きいと思います。演技というより千太郎自身がそこにいると感じるほどでした。知念くんもがんばっていたと思いますが、演技力の差はいかんともしがたく、同時に映るシーンは引き立て役のように見えてしまったのは残念でした。
しかし、ジャズセッションはすばらしいと感じました。本作において、ジャズの演奏シーンが重要なのは言うまでもありませんが、出演者全員がそれをよく理解し、役者としてのプロ根性で演奏練習を積み重ねてきたことに頭が下がります。音楽素人の自分には、十分に感動的な演奏でした。「言葉なんていらない 音をぶつければ気持ちは通じる」を地で行くような文化祭シーンは、思わず目頭が熱くなり、体がリズムを刻み始めるほどでした。ラストシーンも感動的で、最後の最後まできれいにまとまった作品でした。
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