「☆☆☆★★★ 物語の途中で薫は千太郎に思わず怒鳴る。 「家の中に居...」坂道のアポロン 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
☆☆☆★★★ 物語の途中で薫は千太郎に思わず怒鳴る。 「家の中に居...
☆☆☆★★★
物語の途中で薫は千太郎に思わず怒鳴る。
「家の中に居場所が無い者の気持ちなんて分から無いだろ〜」と。
でも…実は2人は似た者同士だった。
伝わらない想い。もどかしい状況が続いて行く中でのトラブル…そして。
「忌々しい坂だ!」
そう呟きながら通った坂道を、今2人は全速力で駆け下りて行く。その爽快感。
安定の三木監督。青春映画の佳作。
好きな監督だけに、どうしても期待値を上げての鑑賞になってしまう。
それだけに、友情物語として。そして、これまでの同監督が作って来た作品以上に素晴らしかった…かはちょっと疑問。
主要の3人及び、年上の2人が絡まる切ない恋愛物語は。年上コンビの2人が、映画の中盤で居なくなるだけに、どことなく中途半端な印象が残る。
また主要3人に関して言えば。演技の質で有ったり、学園生活に於ける同級生達との関係性等が(原作に描かれていないだけなのかも知れないけれど…)今ひとつ不透明に感じる。
ところで作品の舞台が長崎県佐世保とあって、宗教的な描写が多少入っている様にも見える。
少なくとも、千太郎が教会の前での捨て子で、最後には牧師になる訳だし。薫が律子への想いを吐露する糸電話の場面は、告解に他ならないでしょうね。
因みに、原作コミック未読。及びアニメ版も未視聴で、原作者の事をググった訳では無いので、本当にその想いを込めているのかは、此方のあてずっぽでしかないのですが…。
なんだかんだ…と貶しつつも、やっぱり三木監督作品は好きだ! だから採点もついつい甘くなるが、致し方ない。今後も観続けていきたい監督さん。
でも、ラストの小田和正の歌は蛇足か?
どうしても使わなければいけなかったしがらみの為…と考えておきたい。(勝手な妄想)
最後に作品の中身には全く関係無いのだけれど、数箇所気になった事を。
1966年当時に鉄筋建の高校が存在したのか?は疑問。別に存在してもおかしくは無いけれど。
同じく1966年当時で町中の路地裏が舗装されていたのか?も疑問。普通に考えても。東京都内でさえ、それ程舗装されている路地裏は無かったんじゃないかな?
1976年当時に、妊娠中で産まれて来る赤ちゃんが男の子か?女の子か?分かる様になっていたのだろうか?
まあいずれも作品の中身との関連性に於いて、何ら問題がある訳では無いですけどね。
2018年3月13日 TOHOシネマズ日本橋/スクリーン9
1949年生まれの佐世保北高OBです。つまり、1966年には高2でした。小生が物心ついた1955年頃の佐世保旧市内(戦前からの佐世保市)は、幹線道路も高台の住宅地も道路は完全舗装済で下水道も完備していました。北高校舎は、勿論、鉄筋で、前進の戦前の女学校時代の建築でしたので、今(映画)の校舎は耐震補強か建て替えなのか、当時より多少お洒落な外観です。校舎の位置や階数は1966年当時と変わりません。1966年頃の佐世保の商店街は、映画よりも遥かに近代的で綺麗でした。実際の ”通学路の坂道“ は学園祭で2人が駆け下りる上下二車線の歩道付き車道だけで、”階段付きの急な狭い歩道“ は全く別エリアにあります。
又、教室の机は、映画では10年後のスチールパイプ製のものが、1966年当時のものでした。
それにしても、当時とと変わらないエレガントな制服の小松菜奈が “出来栄え86点の佐世保弁” を喋る様は、北高OBには『もう〜、たまらんバイ!』