「テルマはアンニャ心経を唱えた」テルマ kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
テルマはアンニャ心経を唱えた
敬虔なクリスチャンだった家族に育てられたテルマ。冒頭では凍り付いた湖を渡り、鹿狩りをする父トロン。しかし、鹿を狙いつつも銃口はテルマの頭部に向けられていた・・・といった映像だけで大満足。その後のストーリーはそれを確かめるためだけのオマケといった感じ。
ホラーっぽくはないが、その映像力が冴えわたる。大学キャンパスの俯瞰、突然くる発作、レズビアンに目覚める過程、などなど全てが美しい。ただ、その美しさを保つため平坦なストーリー展開になり、眠気も襲ってくるのだ。オープンング映像からは超能力を持った少女を殺してしまいたくなる衝動。しかし、愛娘テルマをさすがに殺せない葛藤。ノルウェーという舞台だけに、寒々しさもビンビン伝わってくるのです。
癲癇じゃないかと疑われるも検査結果はノー。しかし、幼い頃の医療記録によると、大人用の精神安定剤レボトミンを服用させられていたといった過去が暴かれてゆく。自分、いったい何なのさ!?と、もっと疑ってもいいのに、恋する乙女だから深く詮索しない。家族は好きだけど、過保護みたいに毎日電話をかけてくる母親に嫌気をさしていたこともあった。
水泳のシーンと、氷上から見える魚の群れ。そして、その魚が・・・と、ぞっとするシーンもなかなかのものでした。勝手に使ってしまう超能力なんて要らない!
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