「さすがにデキ過ぎたシナリオ。」ザ・サークル 幸ぴこリンさんの映画レビュー(感想・評価)
さすがにデキ過ぎたシナリオ。
一言でいうならば、浅はかな考えで革新的なテクノロジーを駆使した企業が、これまた浅はかな女の子とバトる映画。若干ドリーム系。
トム・ハンクスとエマ・ワトソンはなぜこの脚本作品に出演する事を決めたのだろう。キャストが豪華なだけにツッコミどころから眼を背ける事が出来ないまま「うぉ、この程度の結末でいいんスか?!」と思わされる幕引き。残念賞!!
そんなコト知りたくねーよ、と思うような事までSNSにアップされているのは当然のようになっている昨今。それならば全てオープンにしちゃえば?見られていれば罪も犯せないし、意識的に善良な人間になる事でしょう!…という展開にそもそも無理があり過ぎる。
この映画にはプライバシーの重要性をアピールする人が少な過ぎるし、全てを開示する事による不都合やストレスといった要素をハナから省いている。普通に考えたら嫌に決まっているでしょうが。そんなの試す前からわかる事でしょうが。序盤に意味深に深いキャラで登場するタイも結局殆ど役に立たない。
google並みの施設の揃ったサークルには映画ルームがあるのに、『トゥルーマン・ショー』は誰も鑑賞していないわけですか?と小一時間問い詰め(ry
メイが勝手にカヤックで突如自殺行為に走る というのもナチュラルな運びとは思えないし、それを機に突然宗教家の如く変貌を遂げるのも理解が及ばない。
オープン・シェアが始まってからはカルトチックな宗教モノを観ているような気分が続いた。
マーサーの事故後、アニー(いきなりヤク漬け発覚)とのビデオ通話でメイは悪く無いみたいな事言われてるけどアホかメイ最低だから!!もうホント、このシーン1番胸糞悪い。
展開やそこに至るまでのキャラクターの思考に共感が持てればSNSの怖さやプライバシーの重要性をしみじみ感じられる映画になったかもしれないけれど、私にはこの作品で何かを学ぶのは無理。鹿のシャンデリアって危険なインテリアアイテムなんだな、ってくらいである。