「一気観」あゝ、荒野 後篇 CBさんの映画レビュー(感想・評価)
一気観
前編・後編の一気観。キネカ大森ありがとう。
荒野だ、場末的な環境とボクシングは昔からマッチする組み合わせだ。
単なる希望ではなく、ボクシングをすることが人生の他のことよりも楽しいという時点で場末だ。
いや、楽しいという表現ではあっていないな。ほかのことより、ましだって感じかな。
ボクシングでのあしあがろうという気持ちでもなく、ましだからやる。だからこそ、環境が悪くなれば悪くなるほどのめりこめる、そういう意味で貧乏なほど強くなる。
自殺防止クラブの活動は何だったのだろうか。寺山修二の脚本なので、60年代がわからないとのめりこめにくい。
結果として、この話はなんだったのだろう。ボクシングやれば人とつながれるという話? つながりすぎて、愛しすぎて死んじゃったという話? 終了のゴングが鳴った後の殴り合いの意味は何?
もしかして、そこはカタルシスを感じるべきところだったの? 俺には、ボクシングという競技を冒涜しているとしか思えなかったけれど。
それとも日本という最低の国の中でも俺たちは戦っているんだということを、ボクシングと反戦活動を重ね合わせて作者の心情を伝えたかったということ? わからん。
舞台は、かなり誇張したくらいでないと伝わらないと思うが、それをそのまま映画に持ってくると極端すぎる気がする。「ライチ光クラブ」を観たときにも感じた感覚。
よくできていただけに、本当にラストは残念だった。やりすぎだと思います。それこそが寺山修辞的世界なのかもしれないが。
ボクシングファンの俺には「百円の恋」のほうが向いていたようだ。
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