「アンラッキー・ローガンの綿密なる犯罪計画」ローガン・ラッキー かせさんさんの映画レビュー(感想・評価)
アンラッキー・ローガンの綿密なる犯罪計画
アメリカ南部を舞台にした、乾燥した空気感のクライムミステリ。
東南部の州、ノースカロライナ。
ジミーとクライドのローガン兄弟は、地元では有名なアンラッキー家族の一員。
まともな仕事がなく、犯罪者の子供が同種の犯罪を受け継ぐようなアメリカの片田舎で、地元の大箱シャーロット・モーター・スピードウェイ で開催される一大イベント、NASCARレースで最も金の動くコカ・コーラ600の集金所を狙う。
だが二人で行うには巨大すぎる計画となり、周りにアンラッキーなローガン・ファミリーと組むような物好きはいない。
やっと見つけた協力者は、優秀なドライバーの妹メリー、刑務所で服役中の金庫破りジョー・バング、そして奇妙なこだわりを持つジョーの弟たちだけ。
ジョーの脱走計画に、ジミーの元妻が養育する娘セイディの歌唱コンテストも重なり、スケジュールがどんどん散らかってゆくこの計画を、ローガン兄弟は果たして成功させる事ができるのか。
アメリカ南部の独特の空気の中、一癖も二癖もある南部男たちの、奇妙な文化と風習と価値観にまみれた犯罪計画。
セイディの幼い声で歌われるジョン・デンバーのカントリーロードも、つまずきだらけの計画にいらだったジョーと観客を和ませてくれます。
失敗に失敗を重ね、絶対に計画遂行は無理だと思わせてからの驚きのラスト。
レースのような息をつかせぬ疾走感で一気に駆け抜け、全てが終わった時に、一体だれが幸せになったのか。
計画後、FBI捜査官の視点から内容が語られるスタイルも非常にクール。
南部のコミュニティを描くドラマとしても、個性的なプロたちによるチームケイパー物としてもお勧めできる、オーシャンズ・シリーズを立ち上げたスティーブン・ソダーバーグの力量を示した好編です。