「これまでにないアングルで歴史を見つめた史実モノとして興味深い」ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命 ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
これまでにないアングルで歴史を見つめた史実モノとして興味深い
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戦争という絶体絶命の状況下で、市民の憩いの場所、動物園は一体どのような運命を辿ったのか。上野動物園の「かわいそうなゾウ」と同じく、ここには悲しい運命におかれた動物たちが数多く登場する。中でも序盤の空襲によって動物たちが逃げ出したり、そのまま火に焼かれて絶命していたりと、さながら地獄絵図のような光景には胸が痛くなってやまない。
そこから園長夫婦が園内を利用してユダヤ人を匿うようになってからがこの映画の見せ場だ。1日数人しか移送できない歯がゆさ、大勢が収容所へと強制連行されてしまうタイムリミット感にも緊張感あふれる。史実という点ではとても興味深いのだが、その一方で、ナチス高官が夫人に寄せる想いを利用したり、またその光景に夫が嫉妬したり、あるいはラストの緊迫した場面での追いかけっこなどは、やや短絡的にも思える節も。実力派が揃っているだけに、史実を補強するドラマの織り成し方が勿体なく感じられた。
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