「どこをみるかで評価分かれる。」嘘を愛する女 かくにさんの映画レビュー(感想・評価)
どこをみるかで評価分かれる。
友人と2人で観に行きました。
エンドロール後
私「え、めちゃくちゃよかったね…!?」
友「え、ええ…?」
私「泣けたよね!?」
友「ええええ!?!?( 笑 )」
その後あれこれ話していても、見ているところが全然ちがったみたいで 同じ映画を観たのにこんなに感想が変わってくるのかとびっくりしました( 笑 )
今回はTOHOシネマズ公式サイトに掲載されたあらすじをみて映画を決め、足を運びました。予告動画等は一切見ていません。
この映画の軸は「嘘」を機に変わっていく主人公の心情です。
ミステリーはあくまでスパイス。
私は鑑賞後、一冊の小説を読んだような満足感がありました。
人間の心の機微を丁寧に描写、表現してあったように思います。
でも衝撃的な展開!ってことはないので、そういうのを待ってると肩透かし感はあり。
22年目の告白のような事件もの・謎が謎を呼ぶ・ドキドキハラハラなミステリーサスペンスが好きで、それを期待して観に行った人は それこそ主題が違いすぎてつまらなく感じるかも。
この作品の良いところは、主人公の心情の変化やその原因を、これでもかというほど丁寧に描写している点。
善良/醜悪に振り切った人間なんていない、どの人間にも明暗、どころか多面性がある……。
各所でそういうことを切に訴えてきます。
(これが丁寧すぎて合わない人は合わないかな?友人は退屈・余計なシーンが多かったと言ってました。笑)
時間をかけて表現することによって感情の変化にリアリティが出るようで、私はこの構成とても好きでした。
それから、ストーカー女子大生心葉は、桔平の不安定さを表すのにも、主人公の桔平との向き合い方を表現する対比的存在としても、効果的だったと私は思います。
あそこまでキャラ濃くなくてもいいんじゃない?っていうのはありますけどね( 笑 )
全体的に空気感が自然で、創作物独特の言い回しや良すぎるテンポ等が少なかったのも好印象。
日常をそのまま切り取ったような間がよかった。
まあなんというか、センター試験の「小説」を解いてるようなかんじなんです。
このセリフは傍線部Aの感情から、傍線部Bはこのような気持ちからの行動、みたいな。
示された表現から「行間を読む」っていう過程が好きな人は楽しめるんじゃないかなと。
センセーショナルとは程遠く叙情的。
謎解きではなく、主人公の変化に注目してほしい。
私にとってはここ数年で一番好きな映画でした!
人間の内面についてじっくり考えるのが好きな人へオススメしたい作品。
はじめまして。
そうですよね。心葉は対比的意味があった気がします。
相手の事を考えている様で、自分の事だけを考えている。それを極端にしたのが、心葉ですね。濃いキャラもそれを強調してるのかも。
由加利のそこからの成長を見る映画として、よく出来てると思います。
補足ですが、この作品は実話を元に作られたお話しで
当事者の女性の「一緒に過ごした時間は嘘じゃない」という言葉に対して、
監督が「嘘の上でも愛は成り立つのか?」と思ったことから制作なさったようです。
そういった点からみても、この映画は謎解きではなく、愛とは/人間とは、を問う作品なのではないかなと。