「妄想という生存本能」海辺の週刊大衆 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
妄想という生存本能
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「無人島に何を持ってゆくか」という問いは奥が深い。とりあえず命を繋ぐことが最優先、運よく恵まれたとしても、いつ来るとも知れぬ救助を待つ間、孤独と不安に苛まされることは想像に難くない。適応能力の一つとして空想癖が妙薬とは・・・。
無人島に漂着といってもシチュエーションとして使っているだけだから悲壮感が全くない。笑えるほどではないがクスリとくるものがあるかどうか、他人の妄想、言葉遊びにつきあう時間と包容力のある人以外には無理でしょう。
私の場合は、又吉の一人称で語られるトーンに慣れるまでドン引きでしたが妄想が進むにつれ私の中の妄想が化学反応を起こし始めているのに驚きました。袋とじの真相をあえてぼかしたのは上手いですね。
あまり話題にもならず低予算の小品ですが映画界の裾野の広さを感じます。かっての実験劇場ほどの主張や先鋭さがない分、観る方も気が楽です。
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