「群馬県に水産物はない!」劇場版 お前はまだグンマを知らない 曽羅密さんの映画レビュー(感想・評価)
群馬県に水産物はない!
元々は日本テレビ系のTVドラマを映画版に編集した作品のようだが、TVドラマを観ていないので映画版はどのように編集されているのかはよくわからない。
また原作の漫画も存在するらしいが、こちらも未読なのでどのように映画化されたのか詳しくはわからないので、あくまで本作を観ただけの印象になる。
主演の間宮祥太朗の顔面崩壊芸も含めて全てが大袈裟な作品で、いささかやりすぎ感が否めない。
関東の北部3県のどこが一番優れているかの争いはよくネタにもなっているので、それが面白おかしく映像化された作品と見ることができる。
筆者自身は生まれてから埼玉→東京→千葉と移り住み、現在は関東からも離れてしまったので、暮らしていたどの地域にもそれほど特別な想い入れがない。
そもそも都心は遊びに行く分には楽しいが、喧噪がひどく街並も乱雑で時に汚らしく住むのに居心地のいい場所には思えない。
またその都心への遠近やいかに便利で都会的かで序列を競うのにもあまり興味がない。
映画館が電車で30分圏内に1つもないのはさすがに苦痛だが、ネットが発達した現在ではいかに居心地の良い場所で暮らせるかが重要に思えてしまう。
もちろん本作における排他主義的な地元愛は誇張されたものであろう。
本来はもっと穏やかに地元愛を伝える映画があってもいいと思うのだが、そういった作品は興行的な成功が見込めずなかなか制作が難しいのだろうか?
ハーゲンダッツの工場が世界に3カ国にしかなく、その1つが群馬県にあるというのはなかなか面白いトリビアである。
なおアメリカに2カ所、フランスに1カ所、日本に1カ所になるので、正しくは3カ国4カ所である。
本作の中で力説されていたように群馬からアジア各国に輸出されているのは事実で、それは群馬県民にとって誇らしいことなのかもしれない。
ハーゲンダッツは高級感を売りにしているので、他のアジアで衛生管理も含めた品質基準をクリアできるところがないのだろう。
オレオは山崎パンとナビスコのライセンス契約が2016年に終了したことで日本での生産が終わり、北京で生産されるようになった。
以前日本製と北京製のオレオ比較動画を観たが、北京製はクリームがクッキーからはみ出ていたり万遍なく塗られていなかったりするなど成形においてツメが甘い。
動画では匂いも変わり味も日本人には不味くなったと言っているが、筆者は全く食べなくなったのでよくわからない。
売り上げも小売店レベルで2017年2月時点で前年比の半分らしい。
また面白いことに北京製オレオは国内流通版と日本版では味が違うらしい。
まあ、世界一味蕾が多いと言われる日本人の舌ではちょっとした違いも感じ取ってしまうのかもしれない。
なお筆者は高級なアイスクリームにもそれほどこだわりがないのでハーゲンダッツもほぼ食べない。
群馬がらみで笑い話を1つ、韓国では東日本大震災での福島原発事故の発生以来、放射能が飛散するという理由から福島・茨城・群馬・栃木などの水産物を輸入禁止にしている。
ここで韓国は2つの間違いを犯している。
まず群馬県にも栃木県にも水産物はない。2つ目は放射能は飛散しない。飛散するのは放射性物質である。
国家単位でこういう科学的にデタラメな主張をしている限り、化学物理学系のノーベル賞を取るのは夢のまた夢のようにも思えるが、大丈夫だろうか?
さて本作の内容だが、茨城県民の代表として磯山さやかや栃木県民代表としてお笑い芸人のU字工事、草津温泉のゆるキャラのゆもみちゃんが登場し、しまいにはトランプ米大統領にレイザーラモンRGが扮するなどよくある展開である。
グラビアアイドルの馬場ふみかを初めて知ったが、本作ではお色気も担当しているのだろう、男性客を意識した相変わらずの入浴シーンが用意されている。水戸黄門の由美かおるじゃないんだから。
ドタバタお笑い映画だが、なぜこんなにも旧態依然とした演出を続けるのかはよくわからないし、取り立てて面白くもない。
茨城県の地方性に焦点を当てた同じような作品である『下妻物語』に比べると、笑いにおいても作品の完成度においても数段落ちる印象を受けた。
間宮は次回主演作の『全員死刑』が面白そうなのでそちらに期待したい。