劇場公開日 2018年5月12日

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「「じゃ聞くがの、正義とぁ何じゃ?」」孤狼の血 サウスポーさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0「じゃ聞くがの、正義とぁ何じゃ?」

2018年5月12日
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鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

劇中での役所広司が言う台詞ですが、
この言葉がこの映画の全てを物語ってます!(笑)

という訳で凄く面白かったです!
ヤクザの抗争を軸に警察がヤクザの壊滅に奔走する話なのですが、昭和63年の広島が舞台になっていて暴力団対策法が無かった時代で、当時は暴力団もまだ武道派が多かったそうですね。

いわゆるヤクザ映画ですが、先に言っておくと「アウトレイジ」のような怒号が激しい訳でもなく、韓国のノワール映画みたいに過激なアクションが目立つような作品ではありません。
では何がそんなに面白かったのかというと、警察やヤクザの心理戦です。
ヤクザ同士の駆け引きは勿論、まさかの警察内部での駆け引きも行われていて、観ていてハラハラしました。

邦画でも洋画でもキャラクターの心理戦にここまで引き込まれる作品を観たのは久々ですし、邦画でよくあるような突っ込みどころも殆ど無かったです。

キャスト陣もみんな良かったです!
役所広司はかなりのアウトローな刑事を熱演してたし、松坂桃李も真面目な人物で熱演してて、江口洋介は極道の凄みが際立ってたので出てくるだけで胸が熱くなりました。
竹野内豊、中村倫也、真木よう子といった面々も良い演技をしてました。

一応役所広司が主演ということになってますが、物語は松坂桃李演じる日岡の視点で描かれております。
この二人の関係性もかなり濃密に描かれていて、前半と後半での代わり具合も注目点です。
他の登場人物もどういうキャラかが解りやすく、どのキャラもどういう人物かが把握出来ました。名前のあるキャラだけでも20人近くいるのに殆どが印象に残るので凄いです。

この映画で唯一好きじゃなかった点としては、阿部純子演じる薬剤師のキャラクター性が曖昧に感じました。この映画唯一のオリジナルキャラらしいのですが、阿部純子の演技自体は良かったものの、そこのところが残念でした。

他にも中盤でダレ気味になりそうだったりしましたが、心理戦や伏線回収も上手く、後半にかけて尻上がりに面白くなりました!
ド派手なシーンはそこまで無いけど、残酷な場面は容赦なく描かれて、良い意味で手加減なしに作られてました。
個人的には「アウトレイジ」より好きです!

サウスポー