「若干の尺不足」空飛ぶタイヤ オレさんの映画レビュー(感想・評価)
若干の尺不足
1台のトラックが起こした脱輪事故により、社会的経済的に窮地に立たされた中堅運送会社、赤松運送が販売元の大企業、ホープ自動車のリコール隠しを暴こうと奔走する姿を描く社会派作品。
原作はかつて一世を風靡した社会派ドラマ「半沢直樹」(観てない)を世に出した池井戸潤。
主演に長瀬智也やディーンフジオカ、高橋一生などの豪華キャスト陣、意味深なタイトルが気になり、鑑賞。
さすが社会派の作家と謳われるだけあって、内容は仕事や経済に関することが大部分を占めている。
事故をきっかけとした赤松運送の取引先との関係の変化、世論の印象、その事故の真意をめぐる調査などに奔走する長瀬智也演じる赤松社長一行を描く一方、事故の原因となったホープ自動車のリコール隠しをひた隠す者、探りを入れる者、それを逆手に社内での出世を図ろうとする者を描いたディーンフジオカらホープ自動車一行らの物語が並行展開して行くような構成。
1時間半近く鬱積した展開が続くが、その先に見える大逆転の展開に心救われる気分になるだろう。
ただ原作で色濃く出ていた、ホープ自動車の各人の野心や良心の入り混じった複雑な人間の内面をどう表現するのか楽しみにしていたが、そこは少し尺足らずの印象。
その点に限らず尺足らずな面はあるが500ページ近い上に内容の濃い経済小説を2時間でまとめた点を考慮すると良く出来た作品だと思う。
それにしてもこれだけシリアスな長瀬智也を観たのはもしかしたら初めてかもしれない笑。
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