「羊歯明神!」SHIDAMYOJIN fuhgetsuさんの映画レビュー(感想・評価)
羊歯明神!
またまたいい映画に出会ったよ。
シネマテークさんで「羊歯明神」見終わった。
音楽の持つ寛大さとか優しさとか勇気とか。
すべてをひっくるめて結びつけ、つながっていく命の輝きみたいなもんがそこにはあった。
遠藤ミチロウ。
スターリン時代のパンクな人だっていうことくらいしか知らなくても、福島の名も知らぬ限界集落(志田名=しだみょう)の盆踊りや民謡や伝統のドキュメンタリーだったり、身近な豊田の橋の下世界音楽祭でばっちり遭遇してるシーンが絡んでたり、そもそもが福島出身のミチロウ氏が原発事故に向き合って生まれたドキュメンタリーという、知らないことだらけなのに観ておかないわけにはいかない内容だった。
原発事故といえば、若い世代は逃げることが大事だけど、国の指定によって放射線量が高くても見捨てられたエリア(ホットスポット)にはお年寄りだけが住んでいる。
高齢で農業もできず、未来がないかのように見える志田名に、光が射した。
ジッチやバッパの顔がほころび、いきいきと踊りだし、お盆には孫たちが帰ってきた。
音楽的な偏見はないようであったり、食わず嫌いなこともある。
橋の下世界音楽祭は、そんな垣根を一瞬にして吹っ飛ばしてしまうお祭りで、レゲエもハードコアも民謡もアフリカンもみんな客層がごった返して盛り上がる。
音楽にはそんな目に見えないチカラがあるから、志田名のお年寄りにもあのミチロウ節が突き刺さりながらあたたかく染みこんでいった。
祭りのもつ本来の意味。
祭りのもつ本当のチカラ。
それを橋の下でもたくさん見てきたし、バンド羊歯明神にもしっかり見ることができた。
人は窮地に立ったとき、どうするとかどうしないといけないに向かってがむしゃらになって立ち行かないことがあるけど、なーんも考えんと心が一つにつながればどうにかなる、前に進めるんだってゆうのが伝わってきた。
ありがたや、しだみょうじん!