全員死刑のレビュー・感想・評価
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バカ丸出しじゃんね
一体どこに住んでるの?何の予備知識もないままアマプラで視聴したけど、登場人物たちの方言が気になってしょうがなかった。「じゃん」「るら」「っけ」「けん」など静岡、山梨、愛知(三河)の方言を中心として、北海道弁や広島弁まで混ざってるような気がした。もう太平洋ベルト方言地帯。オリジナル方言もここまで徹底すれば記憶に残ってしまいます。
人の命を何とも思っていない無味乾燥の空気感に短絡思考の二千万強奪計画。その金にしても実際に存在するのかわからないほどだ。暴対法が施行されたせいか、小さなヤクザ組織も存亡の危機にあった状況もわかるし、真面目に働こうという気持ちがないのもわかる。しかし、最初の殺人に至るまでの経緯について行けなかった。
歯止めをかける者はいなかったのか?兄弟のそれぞれの恋人にしても、人間味が感じられず、全員がヤク中になってるとしか思えなかったからかなぁ。
ところが終盤になって一気に訴えてくるものがあった。全員バカなのだ!と・・・。犯罪を隠蔽しようとする様子もなく、ただただ殺しと強奪に夢中になる地獄絵図。こんな危険な奴らは生かしておくだけで人類にとって恐怖になるものだと、全員死刑になるのも当たり前だと訴えてくるのだ。
残念なのは、そうした作品の意図を最初から示してくれれば良かったのにという点だろうか。サトシ(毎熊)の性格がズルい一面を持っていたから期待してたのに・・・期待するほうがバカだったかな。なお、人はなかなか死なないというリアルな描写は良かった。
全員貧困
めちゃくちゃエネルギーがあってグイグイ迫ってくる、非常に観応えある面白い映画でした。しかも力技で押し切ることなく、作りが丁寧で独りよがりにならないバランス感覚もあります。えげつない事件をポップなエンタメに昇華するなんていう離れ業をやってのけており、小林監督スゲー!と感心するばかり。
事件は強烈ですが、登場人物はおしなべて小物です。例えば冷たい熱帯魚のでんでんのような、凄まじい狂気を持った登場人物は不在です。
首塚家は才覚のないヤクザ一家で、搾取され続けて困窮し、切羽詰まって暴走しただけ。そんなどうしょうもない悲惨さを感じました。
そのため、伝わってくるのはなんとも言えない貧しさ。金銭面はさることながら、教育が貧しくて強殺以外の手段がわからず、人的資源が貧しくて頼る人がいない。親の代からの総合的な貧困が連鎖しており、精神的な貧しさから抜け出すすべを知らない。
なので彼らに感じるのはむしろ悲しみでした。歪ではあるが家族愛も感じるし、根っこのところでは普通の人たちなのかな(母親除く)、と感じました。臆病な兄貴に人の良い弟なんて、まっとうな家庭に生まれていたら優しいナイスガイ兄弟になっていたかもしれない。
だからか、笑える場面はおかしみはあるけど、笑うことはできなかったのです。場にふさわしくない修羅場でのギャグなどは、恐怖と直面しないように麻痺させるためにやってる印象を受けました。
あと、弟が殺人を繰り返していくにつれ、どんどん修羅の顔になっていくのが胸に迫りました。殺めることの恐ろしさがめちゃ伝わる。その後の幻影に悩まされるのもリアル。
また、殺される側の家族も、もともと虚無っぽい印象です。殺されるのは当然最高に不幸だけど、なんか家族の断絶があるような印象。弟の「バカを見ると安心」とか、母親の兄貴に色目を堂々と使う、など。産廃業者のJK拉致は一番胸糞悪かったかも。
登場する人々がみな本質的に貧しい印象を受けました。いやー苦しいわ。
主人公の間宮祥太郎は華があり、彼がいたからポップになった印象。あと、兄貴役の毎熊克哉さんははじめて見たのですが、異常にハマっていた。ビビり方が物凄くみじめで、天才的なチンピラ俳優だと感じました。
それから、パトラが最高に妖艶でものすごく衝撃受けました。清水葉月よりも100倍エロく感じた。鳥居みゆきのことは今まで気にしたことはなかったのですが、今ではすっかり気になる人になってしまった。
とてもよかった
カナザワ映画祭で小林監督にお会いして原作本を薦めてくださったので読んでみたらとても面白かった。リアルで馬鹿みたいでとても怖かった。
映画は事前に何の情報も入れずに見たいと思っている。特に原作を読んでいると、ネタバレ状態で、それと照らし合わせて見てしまい初見の楽しみが薄れる。それがとても残念だったのだが、原作で特に好きな拳銃で殺される人がなぜか素直に撃ち易いように頭を差し出す場面が思い描いたのと同じ感じで表現されていて「そうそう!」と思った。
あと、お父さんの自殺失敗する場面も素晴らしかった。想像では得られない感触を目にすることで得られた感じがした。
特によかったのは、お兄ちゃんで、恫喝だけがうまいクズが見事に表現されていた。見ている分にはとても面白いけど、近くにはいたくない。
これまでの小林監督の自主映画作品と比べると、テイストは失わず輪郭がくっきりして魅力が倍増している。ぜひこれからも商業作品を作り続けて欲しい。
原作や実際の事件を含め、家族愛の負の側面が濃厚に現れており、バカなのは間違いなく、悲惨な出来事なのだが、だからと言って全否定できない。オレが被害者でないから言えるのだが、彼らも人の子であり、優しいところやいいところもあるのが切ない。
日本の変態暴力映画
実話と言う事だったので観てみた。
ここ最近の生温い日本映画と違い、かなり攻撃的で攻めてるのはいい。
暴力シーンの合間に入れるギャグ的なシーン。
いや、笑えないから。
実話だったら尚更である。
結局何が言いたいのか不透明。
まぁ深く考えずに見るような映画だと思うが、
話が実話なら別。
イケる
此れは面白い!
全体のトーンや手慣れてない感じが初期のコーエン兄弟を思い起こさせる。限られた条件下を逆手にとって創意工夫を凝らし愉しませてくれました。次作おおいに期待してます。
にっかつとニューセレクトのコラボにドキッとしました。
小林勇貴(祝)監督作品 エロじゃないR15+
凄惨な事件を元ネタにエンタメ映画になっているのを不謹慎と取るか、ヤルな!と受け取るかは観客次第で炎上上等!という監督の気概を感じる。炎上商法ではないのでその覚悟に感心する。
何回か見るうちにジワジワ面白くなっていきそう。オリジナル方言が面白い。人を殺すのはすごく大変だなぁと思わせる。
テンポは微妙に外してくる感じあるし、そもそも最初のマークが女性器のアレだったり、笑わせにきたりもする。でもずっと曇り空でどんよりしてるし、シャブできまった感じは怖いし、悪影響が出て幻覚がみえたりもする。可愛い女の子に「この小人が!」て言わせたりも。
商業映画以前の作品もみてみたい。
統一感のない音楽の使い方に何故かセンスを感じる。エンディング曲も良かった。
「いつかギラギラする日」に言及するシーンあり。
主人公の部屋のポスターのGINJIは夜桜銀次の菅原文太か。
護あさなの巨乳が放り出されることはなかった。
清水葉月が蒼井優ぽかった。気の強い噛む女は存在感あり。
ゲロあり
笑った
普段この類の映画は見ないのでかなりビビリながら鑑賞しましたが、人を殺めるシーンが多い中でクスクス笑えるシーンも多く楽しんで見れました。
何回か見て原作も読んでみて、このセリフは映画にコメディ要素としていれたものなんだろうなと思っていると、実際に言われていた言葉だったり。殺人一家でありながら、日常的な家族関係も大事に描かれています。
これが監督の初商業作品ということで、全てにこだわっているとは思うのですが個人的にはやりたい事を詰めすぎていた感は否めないです。それがエンターテイメントと括られるのであればそういうことなんでしょうけど、ん?と覚めてしまうシーンがあったりしてもう少し一貫して引き込まれたかったなぁ、と。でも遊び心満載で面白かったなぁ、と思ったのも事実でした。矛盾してますね。笑
次男タカノリ役間宮さんの殺人シーンは鬼でした。また1つ違った魅力を感じました。末っ子である故家族のことを思って仕方なくやってしまうが、普通の末っ子でもあると感じさせられるシーンとの二面性が面白い。
個人的には殺人をやらされるも楽しんでいる中で我に返るようなシーンと重い空気漂う河原のシーン、好きでした。
そして長男サトシ役毎熊さんのチキンヘタレ具合がどうにも面白おかしくてずっと笑えます。ツボです。原作を読んで長男はクズにしか感じなかったのですが、愛されるキャラクターを作り上げられたんだなと感じました。
あと個人的にいいな、と思ったのはお母さん役の入山さん。体から感情が溢れ出ていてすごく引き込まれました。
原作読んで感じたのは息子たち二人とも賢いなということ。ただ違うのは長男は自分が良ければ全て良しという点。でもそれが映画にはあまり出ていなかったのですが、次男の賢さを際立たせたかったのかなと思いました。
所謂『DQN』
フィルムノワールの体裁を帯びているが、実は笑いの要素も組み込まれている作品である。とは言ってみたものの実は正直、評価に困るバランスのあやふやな内容でもあった。
今作品も原作があり、その原作も実際の凄惨な事件がベースになっている。事件自体もとても人間じゃない所業なのだが、その鬼畜な連中の演出、描写があまり上手く行っていないのではと感じた。それはキャステイングのせいなのか、構成のせいなのか、そもそものテーマへのアプローチのせいなのか、素材が映画的でセンセーショナルなだけにそのギャップに心の落とし処がみつからないというのが今現在の自分である。
それぞれのキャラは立っているし、演技が悪い訳ではない。でもなんとなくシーンを通じて感じる浮遊感というか、摑み所のない空虚感が狙ったモノなのか、それともテーマへの追求不足、バックボーンの浅さなのか、それを説明できる能力が不足している自分なので、もしかしたら観る人間を選ぶ作品なのか、考えあぐんでしまう。事件が忠実なベース故、その結末もバレてはいるので、多分キモはどうしてこういう人間の皮を被った悪魔達がこの世に存在しているのかという疑問を観客にプレゼンスすることだと思うが、絞首の際の失禁や目玉が飛び出る等のリアリティを演出することの意味をもって、そこに結びつけることが難しい。被害者も加害者も大変近い、最狭な世界の中での最恐の出来事を、もっと深層心理を抉る造りを期待したのだが・・・
話は変わるが、主人公の兄の女役の女性のキャストクレジットが探してもみつからなかった。何か理由があるのだろうか?なかなか演技良かったのだけどね。あれで、ヌードシーンがなかったのも不思議だが・・・
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