「雪玉のようなストーリーは面白いんだけど、」アイリッシュマン zem_movie_reviewさんの映画レビュー(感想・評価)
雪玉のようなストーリーは面白いんだけど、
小狡いおっさんの小さな悪事の積み重ねがどんどん大きくなって引くに引けなくなりイタリアマフィアに絡め取ら、ファミリーの核になっていく。そして、その大きさは自分の目の前の話だけではなく、もっと大きな流れの中の泡沫に過ぎず、やがて、誰にも気にされずに砕けて消えていく。まるで、一握りの雪玉のように坂道を転げ落ちながら大きな塊となり、転げた先で砕け散っていく、そういう物語でした。実話ベースですもんね。これ。
ベテランの俳優さんがずらりで、主人公のロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノはもとよりすべての演技が素晴らしく、また、壮年期から老衰期までを演じているのですが、あれはメイクなのかCGなのか気になるほどに幅広いものでした。
しかし、映画館で観るべき映画か、と言われればノーです。自宅でNetflixでご覧になった方がいいと思います。
・画の撮り方がテレビドラマ以上にテレビドラマ。かつところどころ荒いデジタル処理が興ざめ。
・音が2ch。アトモスというかサラウンド処理を一切感じず、ただひたすらにデカイスクリーンでテレビを観ている感覚。エンドロールでドルビーアトモスのロゴが出て、「え?」となるレベル。
・207分は長いです。インターミッションは必要じゃないかと。しかし、ストーリーはその長時間を意識させない、その先が次々に知りたくなる仕様ではあります。
いい映画なのは間違いないのですが、きちんと映画フォーマットで作って欲しかったかなあ。
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