ワンダーストラックのレビュー・感想・評価
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丁度良いサイズの佳作
思わせぶりな原題だこと。50年の時を経てめぐり合う、おばあちゃんと孫息子。たったそんだけの映画です。問題は、ミシェル・ウィリアムスの出番が、こーーーんだけしか無かった事と、女の子(Quiet Placeの子)が、あんまり可愛くなかったこと。
この類のジンワリものの良さを、予告できちんと僕らに伝えて欲しい、って言うのは配給会社さんへの要望。
驚きも、突き抜けた感動も無いけど、これくらいのサイズ感の映画が好きです。好きで好きでたまらない。
足元に広がる街のミニチュアに西日が映える。
目の前に広がる景色から街明かりが消えて行く。
この辺を、詩的に美しく見せてくれる技術って凄いと思う。
ちょい飽き。でもまた見たい気はする。
今まで知っていたトッドヘインズみは薄めでした。
なんせジュブナイルですから。
でも、ジュブナイルは大好物ですから、見てきました。
全体的には楽しく見られました。
白黒時代のローラが1977年代のジュリアンムーアで、ベンのおばあちゃんなんですね。
なんとなくその流れは予想がつきます。
そしてちょいちょい飽きたりもしました。
自然史博物館のワンダーストラックの壁展示とその絵(本?)の、意図があまりピンとこなかった気がします。
機会があれば見直してみたいです。
ベンがローズに出会って、祖母と父と母の話を聞いて安心するというかうれしい気持ちは、私は生まれた時から祖父母も父母も揃っていたため、祖父母や父母の来し方にそんなに興味が無くて、知って嬉しいという気持ちが、本当には理解できないのです。
が、物語のなかでは大抵みんなそこに拘るなぁと思って見ていました。誰から生まれた、どんな人から生まれたってことは、そんなに大切なことなのかなぁと、知り得ない気持ちを想像していました。
友達がいなくて寂しい、家族がいなくなって寂しい、母親も父親も愛してくれなくて寂しい。それらの気持ちはわかります。彼らと同じでなくともカケラはわかるんですが。
ニューヨークのジオラマになんだか切なくなりました。
黒人の男の子がすごく可愛かったです。
音のない世界を音で表現する挑戦も、なんだかやかましい。
トッド・ヘインズは「キャロル」のような正統派(正統派になるのか?)の作品も手掛ける一方で、常に実験的な作品を撮り続けている人物という印象がある。50年代メロドラマを下敷きにした「エデンより彼方へ」もそうだし、ボブ・ディランの伝記映画「アイム・ノット・ゼア」にしてもまったく普通の伝記映画ではなく、実験映画と呼ぶべき作品だった。そしてこの「ワンダーストラック」もまた、ファンタジー・ドラマである以前に「実験映画」と呼んだ方が相応しい気がする。そしてその方が、トッド・ヘインズの映画らしいという気がする。
聴覚を失った、時代を超えた二人の少年少女のそれぞれの冒険と、二人の人生が交差するドラマが描かれた作品だけれど、その音のない世界をあえて音と音楽とを使って表現したところがこの映画の特徴。サイレント映画へのオマージュも感じるような作り方(「アーティスト」とはまた全く違うアプローチ)に独創性を感じるものの、次第に、その音と音楽が煩く感じられてくる難しさ。無音を表現するための音楽が常になり続け、それがだんだんとやかましくてたまらないのだ。ふと会話のシーンで音が止むと妙に安心する自分に気づく。実験としては面白い試みでも、映画としては少々難ありかという感じ。
ただこの映画の美術と色彩感覚は本当に美しくてうっとりしてしまう。メルヘンとリアルを融合させたブリキのおもちゃ箱をひっくり返したような世界観は秀逸。特に終盤で見せられる、ジオラマを使ったストップモーションアニメの回想シーンが卓越で、なんならあの世界観で1本映画を観たかった気分。いっそこの作品を、ストップモーションアニメで撮れば良かったのではと思うほど。
内容に関しては、時代の違う少年と少女を並行して描いて、あれやこれやと勿体つけたわりに、導かれる結論の凡庸なことこの上なく、実は少女は少年の祖母だった、という結果以上のものが一切得られない。二人の関係性が線でつながることで派生するものがこれと言って無いに等しく、エンドクレジットが始まった瞬間につい「だから何?」と思ってしまった。
おばあさんが大事にしまい込んでいた想いに涙
すごく丁寧な美術だった。一番気に入ったクイーンズ美術館の模型は実際に展示されているようなので、今回のためのものではないにしても、あそこでのシーンにいたる展開がハートウォーミングでよかったなあ。おばあさん、母親、ベンのそれぞれの想いが「つながった」ような気にさせられたもの。
ただ、ラストが物足りない。もう少しストーリーを発展させて終わりにしてほしかった。
まさにワンダー。名曲"スペース・オディティ"に抱かれる
まさにワンダー。偶然の出会いが重なり、不思議な空気感につつまれる映画である。
マーティン・スコセッシ監督の「ヒューゴの不思議な発明」(2011)の、原作者ブライアン・セルズニックの同名小説を、トッド・ヘインズ監督が、実写化した。
"ヒューゴ"と同じく、子供の純粋なこころを大事にしつつ、"たいせつな何かを探しに行く"という冒険要素もある。そして時代背景に"映画史のエポック"を押さえつつ、"音"と"色"と"撮影・編集"のテクニックを駆使した高度なバランスの作品である。
この物語には、2人の子供が出てくる。2人の物語は、一方はカラー映像、もう一方はモノクロ映像で交互に進む。しかもモノクロパートは"音がない"。またカラーパートは"セリフがほとんどない"。完全な無声映画ではなく、効果的に音と音楽をつかう変形サイレントの形をとっている。
ひとりは1977年の少年ベン。母を交通事故で失い、父親とは一度も会ったことがない。母の遺品のなかから、父の手がかりを見つけるが、突然の落雷で、耳が聞こえなくなってしまう。ベンは父親を捜すため、独りでニューヨークをめざす。ベンの物語は、途中から耳が聞こえなくなってしまうベンに合わせて、必要最低限のセリフと、バックグラウンドの音で進行していく。
もうひとりは1927年の少女ローズ。ローズは生まれたときから耳が聞こえない、"ろうあ者"である。ローズの両親は離婚し、厳格な父に育てられている。寂しさをまぎらわせるため、憧れの女優リリアン・メイヒューの記事をスクラップブックに集めているが、そのリリアンこそ、ローズのもとを去った母であった。ローズは母の舞台を見るため、ニューヨークをめざす。こちらはモノクロ映像で進み、"ろうあ者"視点のサイレント映画になっている。
もとからセルズニックの原作は、"絵本"と"小説"のハイブリッドスタイルである。とくに”ローズ”のパートは、文字のない絵だけで進み、ページをめくるごとに無声映画のような展開を見せる、まさに映像化にうってつけの素材ともいえる。そして、今回はそのセルズニック本人が脚本を書いているのがミソ。
ベン役には「ピートと秘密の友達」で主役を演じた若干14歳のオークス・フェグリーが選ばれ、また「アリスのままで」のジュリアン・ムーアや、ミシェル・ウィリアムズなどアカデミー賞クラスの女優が支える。
しかし、トッド・ヘインズ監督の幸運は、ローズ役のオーディションで、聴覚障害を持つ新人俳優、ミリセント・シモンズを見つけたこと。彼女の演技がまた素晴らしい。
さて、劇中には、オスカー・ワイルドの名言「We are all in the gutter, but some of us are looking at stars.(オレ達はみんなドブの中にいる。でもそこから星を眺めている奴らだっているんだ)」が出てくる。
この言葉は、ベンの母親エレインの部屋の壁に貼ってある。この映画で、"星"は暗闇のなかで輝く希望を見い出すキーワードとなっていて、同時にローズが憧れる"スター"女優にも掛けている。
さらにデヴィッド・ボウイの1968年の名曲「スペース・オディティ(Space Oddity)」が印象的だ。同曲はスタンリー・キューブリック「2001年宇宙の旅」(1968)に影響されたことでも有名だが、これも"星(宇宙)"である。
しかも、エンドロールで流れる同曲は、2001年にリリースされ世界的に知れわたった、カナダの小学生たちの合唱曲ラングレー・スクールズ・ミュージック・プロジェクト(The Langley Schools Music Project)のバージョンが採用されている。子供たちの声が幾重にも重なり、幻想的に響いている。
劇中で、1977年7月の"ニューヨーク大停電"が起きる。大都会の暗闇のなかで、ベンの物語とローズの物語が最終的に出逢う奇跡に心が震える。
(2018/4/6 /角川シネマ有楽町/シネスコ/字幕:松浦美奈)
親子の絆が時空を超える
母を交通事故で亡くしどこかで生きているはずの父を
探しに旅に出る少年の物語
(話の冒頭に事故で耳が聞こえなくなる あまりに唐突で
ちょっと面喰いました)
耳が聞こえないと言う設定なので
少年が1人父を探し回るシーンはとにかく
音楽や かすかに少年の耳に聞こえるざわざわなど
殆ど台詞がない音だけのシーンが続く場面もあり
ちょっとここのシーンは万人向けではないなと
感じた
それと同じくして少年が生まれる前
少女が離れ離れになっていた母を訪ねて
旅に出る話が同時進行して行く(この少女も耳が聞こえない)
こちらも 音のない世界が繰り広げられます
(全部ではない)
この2つの話が
きっと同時進行していくので それがつながるのだろうなと
観ていました
感動はしましたが私の中で想定内の感動で
(観ていて先がわかってしまって9
もっとドラマティックなものが欲しかったので
そこのところは残念だった
ラストは親子の絆や友情などが伝わっていいなとは
思いましたが
少年が突然家を飛び出してしまって
少年を預かっている叔母さんたちは
とても心配しているのではないか
なんて余計なことを考えてしまった
他にも突っ込みどころが多々ありましたが
あまり言うとネタバレになるので
やめておきます
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