ゲット・アウトのレビュー・感想・評価
全289件中、21~40件目を表示
面白さを不快感が圧倒的に上回る
巷で評判の「ゲットアウト」ホラーが苦手な私でも観てみたくなった。
ふたを開けてみればスリラーで、自分が不安になる怖さはなかったので良かった。しかし、あまり良くなかったのだ。
この作品は人種差別とスリラーの二つについて話さなければいけないだろう。
まず、差別や黒人奴隷を想起させるいくつかの仕掛けには、多くないとはいえ気付く事ができた。
どちらかというとモロ出しにみえて、粋ではないと感じた。本作はスリラーであるから、こういったテーマというのはある程度隠されていないといけない。
なんだか、白人の警官がアフリカ系アメリカ人を笑顔で殴打している映像を見せられたような気分で、興がさめたどころか少々不快に感じた。
次にスリラーについて。こちらは序盤の、白人のような振る舞いをするアフリカ系アメリカ人たちの不気味さは面白かった。
しかし、主人公クリスに直接降りかかるような危機が終盤までないせいで、ヤバイよヤバイよ、早く逃げろ!という気持ちにならない。期待したほどのスリリングさがほとんどなかった。
それに、白人らしい振る舞い、アフリカ系アメリカ人らしい振る舞いというのがすでに差別的過ぎてやっぱり不快だった。
となると、スリラーと人種差別をブレンドしたことが醍醐味かなと思うけど、これだって「サバービコン」や、あまり差別を扱っていると認識されていないけど、タランティーノ監督の「ヘイトフルエイト」とか、もっとうまくやった作品もあるし、評価する気になれない。
もし本作の監督が白人だった場合、絶賛されるどころかボロクソに酷評されると思うんだよね。ジョーダン・ピールがアフリカ系だから絶賛されるのって差別ではないか?
作品の中でアフリカ系は有利か不利かという問いかけがあるが、有利とか不利とかその考え事態が差別的なんだけど、監督で脚本のジョーダン・ピールはわかってて有利になる差別を受けたのよ。
もともとコメディアンとしてそういう人だから、それは別に問題ではないんだけど、さすがにちょっとダメじゃないかと思うのはエンディングだ。
少しネタバレ入るのでご注意。
この作品は、白人がアフリカ系をなぶる姿を延々と見せるだけのスリラーだったわけだが、ラストに同郷の友達が助けにきたことで、アフリカ系はアフリカ系同士かたまっていた方がいいというメッセージを残したと思う。私は別に構わないと思うけど、世界の流れ的にはダメでは?
「サバービコン」や「ヘイトフルエイト」はちゃんと融和のメッセージを残して締めている。
ジョーダン・ピールにとってはコメディなんだろうけど、全く笑えない。
友達は大切にしよう
白人の恋人の家で味わう《黒人青年の恐怖》
2017年。監督はジョーダン・ピール
この映画はネタバレの考察がネットに溢れていて、
微に入り細に入り丸裸にされています。
最初に観た時のシンプルな感想を書かせて頂きます。
黒人である程度成功したカメラマンのクリスは、
白人で気立が良く美しい恋人ローズの郊外の実家をはじめて訪れます。
オバマ支持者というリベラルな両親に紹介されるが、
管理人とメイドは黒人だった。
会話の端々に違和感を感じ、居心地が悪く“それこそ“
何かがおかしいのだ。
ローズの母親には催眠術をかけられて、幼い頃母親を亡くした辛い記憶を
まざまざと思い出して沼地に沈んだような気持ちにされる。
そして開かれるアーミテージ家の親睦会パーティー。
親しげに会話するのにここでも違和感を感じてイラつくクリス。
黒人が好きなのは性的な興味なのか?
ローズにさえ猜疑心を感じるクリス。
耐えきれず帰宅しようとすると突然またしても魔術をかけられて、
気がつけば地下室に手足を拘束され椅子に縛り付けられている。
ここからは想像以上にヤバい展開が待っています。
ネタバレになるので書きませんが、ホラー映画の秀作です。
白人と黒人の間に横たわる猜疑心や溝は思っている以上に深いものだと
思い知らされる映画でした。
そしてそれをリアルに示したジョーダン・ピール監督の才能に
驚嘆しました。
ヒトコワってレベルじゃねーぞ...
彼女の家に初めて行く主人公の黒人。暖かく向かい入れてくれた彼女の家族に安堵しているが周りにいる家政婦?たちの様子がなーんかおかしくて疑問を抱く。。
しばらくすると彼女の両親が主催のパーティー的なのが開かれやはりそこに来る人たちも様子がおかしいと、、
そして......というのがあらすじ。
最初は黒人差別をしているのか?そういう題材の映画なのか?と思ったが全然違くて怖かった。
中盤から終盤に向けて、起承転結の転の部分でどんどん恐怖が加速していくのはゾッとした。
幽霊的な怖さではなくヒトコワって感覚でした。
最後らへんは怒涛の展開が繰り広げられておもわずえぇ??って声出ましたわ。監督さんは初の作品なんだけどここまで仕上げられるのは本当にすごいと思いました。。。
なんじゃこりゃー
中学生のころ、「アメリカでは、黒人は差別されるけど、ヨーロッパでは...
考察サイトを見て、お~!っていうのを楽しむ深い映画。
引き込まれる奇妙さ
彼女の家に招かれたクリスはパーティー会場で様々なゲスト達と会う。
皆、フレンドリーだけど、やたらと身体や肌について聞いてきたりと違和感が…。2階席に行くクリスを皆で眺めていたり何か品定めをされているかのよう。
久しぶりに会った友人が別人のようになっていたり、家政婦が笑いながら泣いていたり、
いきなり全速力でクリスに向かって走ってくる
農夫とか、とにかく不気味さ満載。
電話で相談に乗ってくれるフランクな友人だけが唯一の救い!
ラストの方で真実が明らかになり納得した。100分という尺の中で、話も纏まっていて見易かった。
奇妙さ・不気味さの魅せ方が秀逸で、
役者達の演技も良かった。
ジョーダン・ピール監督の他作品
も観てみたくなりました。
2度観必須
新感覚BINGO!
どういうジャンルの作品だったかも忘れて観たこともあり、予測不能の展開がとっても面白かったです。「観たこともないような映画」に久しぶりに出会えたような満足感がありました。タイトルの「ゲット・アウト」という台詞が劇中にも出てきますが、それがダブルミーニングになっていると後からわかったり、あちこちに色々な仕掛けがあって、見終えた後もしばらく余韻が残るタイプの作品でした。とんでもない設定ではありますが、実際的には似たようなことが現実にあるとも思えて、別の意味でも怖い話だと思いました。ジョーダン・ピール監督はコメディアン出身で、本作が初監督作品とのこと。「コメディとホラーは似ている」という監督のコメントがとても興味深かったです(笑えるホラーという意味ではなく)。
不気味さの演出が巧み
気味悪さの演出が最高に上手い。最初はクリスを大歓迎している様子の恋人ローズの一家だが、次第に不気味な様相を呈していく。この徐々に不気味さを増していくところの演出が巧みで、一切目が離せない。
「NOPE」もそうだったけど、ピール監督は動物をメタファーとしてよく用いているなと気付く。本作のシカも監督のメッセージが込められているのだろう。あとあのオペシーンはレクター博士のオマージュか。
クリスはいい感じで肩の力が抜けていてそれでいて賢く勇気があり、好感が持てた。ロッドもいい味を出していたし、それぞれのキャラがしっかり立っていたのがよかった。
白人だらけのパーティにアジア人が交ざっていたのも示唆に富んでいて面白い。
監督の才能を感じる作品
いや、凄い。
初監督作品にしてこの完成度。
しかも脚本もですと!?
サスペンススリラーであり、新感覚なホラーでもある。
シャマラン監督に通ずるものがある世界観の持ち主ですね。
映画もそうだけど、この監督も“何かがおかしい”ぜ…
そう難しい話ではありません。
何かおかしくて不気味なんです。この家族。
一人ひとりの表情、言葉使い、周りの視線、雰囲気。
すごく細かく演出されていて、とにかく見ていて気持ち悪い。
しかしその謎が解けた時、「なるほどぉ!」と共に何とも言えない不思議な後味が残ります。
多分この気持ち悪さは音楽の影響も大きいのではないかと。
もちろんそれも計算されての事だと思うのですが…
細かなツッコミどころはありますが、それを差し置いてもデビュー作でこれは凄いの一言だと思いました。
ジョーダンピールの言葉遊びに踊らされた
何回観ても面白すぎる!
写真家の黒人男性が白人彼女の実家で体験する不気味な違和感とそれが確信に変わる恐怖を描いたシチュエーションスリラー。
段階的にヒントが出されて予想するんだけど絶対に上をいかれて全てが明らかになる時思わず唸ってしまった。
タイトルのゲットアウトがとてもいい味を出していて最初はそのままの意味の排斥を想像していたがそれすらも裏切られ、ジョーダンピールの掌で転がされてしまった
この作品は脚本の素晴らしさにフォーカスが当てられているが役者の目、表情が印象的だった
特にダニエルカルーヤ、ラキーススタンフィールドの目力は凄まじく頭にこびりついて離れなかった。
最初に感じた違和感は外れることがなく本能のままに逃げるべきという生物本来の教訓が本作にはあった。
衝撃的だけど王道なホラーストーリー
観るものの人種差別を浮き彫りにする
2017年公開の米ホラー映画です。
ジョーダン・ピール監督の初監督作品にして、ホラーでは難しいといわれているアカデミー賞の脚本賞を見事、受賞しております。
総評として素晴らしい作品であると思います。伏線考察を散りばめている作品は、どうしてもストーリーが置き去りになってしまうことが多々ありますが(同監督の2作品目「アス」はまさにそちらの分類でしょう。)、「ゲット・アウト」は脚本に関しても実によく練られており、伏線考察抜きにしても充分に気味が悪く唸る構成となっています。
またこの作品において秀逸な点は観るものの根底に潜む人種差別意識を浮き彫りにすることにあります。米社会では黒人大統領やアスリート、アーティストの活躍は目紛しく、人種差別は過去のものになりつつあると思われています。しかし、(作中描写であるように)使用人についてはいまだ黒人が主流であり、近年の白人による黒人青年射殺事件のような、拭きれない人種差別が根底にあります。作中にあるように「白人が黒人を評価する」描写自体は差別的な観点から生まれる概念であり、そもそも両者を分類して考えること自体、差別意識が根底にあるということなんですね。
われわれは今一度、人種差別について深く考える必要があるということを気付かせてくれる作品でもあります。
全289件中、21~40件目を表示