「リベラルの欺瞞を寓話的に表現」ゲット・アウト ローチさんの映画レビュー(感想・評価)
リベラルの欺瞞を寓話的に表現
人種差別を題材にしたアメリカ映画は数多いが、本作のインサイトはとりわけ深い。差別は良くないと啓蒙的なメッセージの裏側の嫉妬や妬みをも描くからだ。
白人と黒人の身体能力は確かに違う。バスケットボールのスター選手の多くは黒人だ。社会的地位が白人の方が上のうちは白人たちにも心の余裕があるだろう、しかし社会から差別がなくなれば白人たちは自分たちが黒人よりも劣っているのではと劣等感を抱き始めるだろう。そんな感情を抱くのは典型的な白人至上主義者だけではない、オバマを支持するような中間白人層だって例外ではないのだ。
本作はそんな白人たちが潜在的に抱える「追い落とされるかもしれない恐怖」を描いている。その恐怖が、さらに黒人たちにおぞましい脅威を見せてしまう。アメリカの人種問題に対する根深い病理を見事にえぐり出した作品だ。
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riricさんのコメント
2019年8月5日
私は違うと思います。
まず、黒人のプロバスケ選手が多
い理由を遺伝子と片付けるのは違うと思います。勉強に集中できない社会構造やそれこそ個人の努力なども評価すべきです。結果ではなく過程に目を向けるべきです。
それから、祖父のパーティーに来ていた人はクリスを羨望の目で見ていたでしょうか。自分が完璧になるための道具としてしか見ていなかったと私は思います。劣等感ではないです。最初っから差別だったと思います。
リベラリストが劣等感ゆえに闇に堕ちるストーリーではなく、どちらかと言えば、見ている自称リベラリストのベールを剥がしレイシストとしての本性を暴露するストーリーだと思います。