「不自然な黒人たち」ゲット・アウト KinAさんの映画レビュー(感想・評価)
不自然な黒人たち
冒頭からなんだか不穏な空気が漂い、彼女の家では「何か変だな…」っていうゾワゾワが常にあった。
黒人の使用人達の不自然な行動や表情がかなり不気味。
交通事故やローズの元カレの話、懇親会のお客達のクリスに対する言動など色々伏線張り巡らしてあったのも面白かった。
ただ、話のキモとなるアーミテージ家と仲間達の目的がイマイチ入り込んでこなかった。
黒人の身体を乗っ取って生きていきたいってのは分かるんだけど、「凝固法」(だっけ?)の詳細や彼らの信念、黒人に強くこだわる理由がちょっと弱い。
催眠術のシーンにかなり時間かけてたけど、それより一番ショッキングであるはずのネタバラシをクライマックスとしてしっかり観せて欲しかった。
クリスのオークションのシーンは静かに強いインパクトを感じられて好きだけど。
催眠術での床に沈み込む描写は唐突で少し笑ってしまった。
後半はほとんどアクション物みたいになってしまってたのも残念だった。
躊躇なくローズの家族を殺していくクリスの覚醒は見ていて面白かったけど。
クリスの親友ロッドには少しイライラと違和感を感じてしまった。
いきなりの性奴隷発言はちょっと笑ったし、警察に本気で訴えたいならあんなコミカルな喋りはダメでしょう…
まあ最終的にクリスを救うなかなか有能なヤツではあるんだけども。
ローズはとにかく名演だなと思った。
急な豹変はなかなか見応えあったし、あんなに良い彼女だったときの態度を思い出すと怖くなる。
なんだかあまり入り込んで楽しむことはできなくて残念。
冒頭のシーンはかなり好みだけど、正直本編との繋がりがわからなくて辛い。あそこだけもう一度観て理解したいわ…
作り込まれた表情やカメラワークなど演出面で好きなものは多かった。