「よく分からんけどなんか面白い」犬ヶ島 SHさんの映画レビュー(感想・評価)
よく分からんけどなんか面白い
話が突飛すぎて、展開も荒々しくて、はっきり言って物語にはほとんどついていけなかった。でも、非常に面白かった気がする。設定とコンセプトは非常に面白い。でも物語はつまんないかも…そんな感じの映画に思えた。
音と犬のキャラが非常に魅力的で、犬の動きや表情に注目しながら、音を頼りに展開を追っていけば、だいたい物語はつかめる。やたら文字が出てくるし、細かな飛躍した物語や説明が多くて、頭の中に入ってくる前に話がどんどん進んでいくので、不安になるところも多少あったけれど、クロサワ風の音と絵にニヤニヤしながら、細かなことは気にせず、終始楽しめた。
日本を小馬鹿にしているのかリスペクトしているのかよく分からないところは大いにあるけれども、作品を通して感じるシュールさによるものなのか、まさにザ・日本というものを楽しませてもらった気がする。
個人的には面白さや興味のピークは始まりのほうにあって、作品が進行していくごとにそれが減っていったような気がしたけれど、ビジュアルや音に関していえば、ずっと魅せられていた。この作品の面白さは、設定とコンセプトという思いが拭いきれないため、どうしても出落ちのようなものを感じてしまうわけで、ストーリーを重視して見ようとすると、多分、面白くない作品。そんな危惧を一蹴してくれる、絵づくりやら音のミクスチャーがものすごい醍醐味。犬ヶ島というタイトルそのものがこのさくひんをよく表したものなのかもしれない。