「心地よい違和感」犬ヶ島 ghostさんの映画レビュー(感想・評価)
心地よい違和感
外国映画に登場する日本の「これじゃない感」を私達日本人は少し卑屈に捉えすぎていると思う。
相撲のシーンを撮るにあたって野村訓市さんがインタビューでおっしゃっていた「日本人が作っている作品ではないのだから、ウェスが考える、ウェスが撮りたい相撲を撮ればいい」と言う言葉が全てを表している。
私達日本人から観ても"これは完璧に日本だ"と感じるようなウェス・アンダーソン監督の作品を観たいだろうか?
私がこの作品から感じる違和感はとても心地よく、いつまでも味わっていたいと思えるものでした。
何故かたどたどしい日本語で話す人間達とは反対に、堂々としていて威厳のある犬達とのバランスも絶妙。
渡辺謙さん演じる医師の非現実的なのに何だか妙にリアルな存在感や、オノヨーコの艶っぽさなど脇役にも愛着がわきます。
お馴染みのキャスト陣が揃う安心感も◎
大きな事件の渦中でも淡々と前進しようともがく一見滑稽にも見える登場人物達の行動や台詞。
くすっと笑ってしまう残酷さと、愛くるしい小道具達。
何とも形容し難く、"雰囲気"とふんわりとした表現しか出来ませんが、この"独特な雰囲気"こそ彼の作品を唯一無二の作品たらしめているんだと今まで以上に実感させられます。
(表現しきれない自分がもどかしい!)
とにかく、私がウェス・アンダーソン監督作品を好きな理由はこれだ!と再確認出来た素晴らしい作品でした。
ストップモーションアニメの次はどんな作品を観せてくれるのだろう!
まだ最新作を観たばかりですが期待は高まるばかりです。