「日本語字幕が作品を台無しにしてる」犬ヶ島 ヘルスポーンさんの映画レビュー(感想・評価)
日本語字幕が作品を台無しにしてる
ストーリーは水戸黄門と同じくすごく単純な勧善懲悪もの。それがストップモーションアニメという表現、ウェス・アンダーソンの一風変わった演出力とこだわり(製作に4年をかけた力作!)によってオリジナリティに溢れたとても楽しい作品になっています。
昨年公開したスタジオ ライカ製作の「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」が記憶に新しいと思いますが、それとはかなりテイストの違う作品になりますので、KUBOのようなものを期待すると裏切られた気持ちになります。
黒澤明(音楽や三船敏郎)や宮崎駿、大友克洋、俳句、浮世絵、太鼓、そして犬!
ここらへんのオマージュは監督はただの記号と言っていたので知らなくても問題なし。ただ、柴犬が一匹もいないのはウェス監督に怒りたいですが(笑)
とにかく話は単純なのにとてつもない情報量で最初は置いていかれます。
問題なのが日本語字幕で、画面上に出てくる日本語の文章には英語字幕がつくのですが、そこに英語で入るナレーションの日本語字幕が重なることによってさらに情報量が増え、とても目で追いきれないほどになっている。
本来ならば登場人物のセリフ(日本人なので日本語)はスルーされるもので、唯一英語で会話をする犬達の目線で話が進んでいくはずだし(犬達のように日本語で喋ってる男の子は「あいつ何て言ってんだろうな」と思いながら進む)、犬と人間の間には対話がないというのが作品上重要だと思うので、日本語が自然に入ってきてしまう+英語をしゃべる犬達と英語をしゃべる一部の人の間には会話は成立してるの?というところが気になり劇中はすごく退屈だった。寝てる人や途中で帰った人もいたので残念だった。
レディプレといい、今年は三船敏郎をスクリーンでよく見るなぁと思いました。