「「リングサイド・ストーリー」との掛け合いがお楽しみ」ミックス。 Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
「リングサイド・ストーリー」との掛け合いがお楽しみ
昨年は映画出演がなかったので、久しぶりのガッキー(新垣結衣)主演作品。
代わりに「逃げるは恥だが役に立つ」の特大ヒットで、どちらかというとTVドラマ中心の庶民派イメージだが、"もっと映画に出てほしい"、旬の女優のひとりだ。テレビ人気に支えられているので、先週から相手役の瑛太とともにTVプロモーションしまくりで、もちろん週末興収でNo.1ヒットを記録している。
本作は加えて、ガッキー主演のヒットドラマシリーズ「リーガルハイ」で、脚本を担当する古沢良太が書き下ろした新作というところが注目である。監督も同ドラマの石川淳一。
石川淳一×古沢良太作品は、「エイプリルフールズ」 (2015)以来。また古沢良太脚本では、まもなく3作目公開の「探偵はBARにいる」シリーズが人気である。2人は、ガッキーの魅力を引き出すことに長けているだけに、とにかく可愛いことに間違いない。
共演では、いいポジションで何気なく映画に出まくっている永野芽以(ライバルチームの恋敵役)もいる。また広末涼子を脇役にしてしまうキャスティングもプチ贅沢。
ストーリーは、卓球の男女混合ダブルス(ミックス)をテーマにしたドラマ。主人公の多満子は元・天才卓球少女で、いまは普通のOL。男に振られたオンナ(多満子)と、女房に愛想をつかれたオトコが卓球のコンビを組んで、人生のやり直しのため、全日本卓球選手権に挑戦する。
オリンピック日本代表の水谷隼、石川佳純、伊藤美誠が本人役でカメオ出演しているのも楽しい。
はっきりいってテレビドラマの特番レベルかもしれない。しかし見どころは、ガッキーと瑛太の卓球シーンの"もっともらしさ"。まあテレビドラマだったら、これほど作り込まないだろうし、本作で唯一、"映画らしい"部分かもしれない。もちろん2人の練習も相当なものだろうが、カメラワークの巧みさとフレーミングの妙だと思う。
さて映画ファンなら、同じく瑛太主演で公開中の「リングサイド・ストーリー」も観ると、その設定で笑える。ちなみ「百円の恋」(2014)で、安藤サクラに日本アカデミー賞をもらたした武正晴監督の最新作である。
「リングサイド・ストーリー」の瑛太は、売れない俳優・村上ヒデオ役で、ひょんなことから、"K1ファイターとボクシングで勝負する"ことになる。ボクシングの練習を始めたヒデオは、左パンチがプロ級に強いことを指摘され、"昔、卓球でサウスポーだったんで…"というセリフがある。
対して、本作「ミックス。」での瑛太が演じる元プロボクサー萩原は、多満子とミックスペアを組むことになったとき、左利きのラケットさばきが上手く、"ボクシングではサウスポーだったんで…”と言う(笑)。
おそらく武監督のほうが、コメディ作品として仕掛けたセリフなのだろうが、作品を越えての掛け合いは、映画ファン、瑛太ファンのお楽しみである。
(2017/10/21 /TOHOシネマズ日本橋/ビスタ)