「あからさまな裁判での人的資源の損失も、まだ健全な社会での出来事のように思えて…」否定と肯定 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
あからさまな裁判での人的資源の損失も、まだ健全な社会での出来事のように思えて…
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被告のヒロインが余計なことをしなければ
必ず勝訴するであろう裁判が淡々と進む。
それだけに、
この先にどんなドンデン返しがあるのかと
思っていたら、
裁判長の思いがけない発言があったものの、
それでも何事も無くスルーして
勝訴のエンディングとなった。
真実と正義の追求についての映画
とのことだったが、
相手があからさまに単純系だったので、
テーマそのものが深まらなかった印象の作品
だった。
また、
ホロコーストの有無、
どの国にもいる都合の悪かった事への
否定論者の存在、
ヒロインの成長物語、
等々、テーマの重点を定め切れていない印象
もあった。
だから、ガス室跡を映すラストシーンも
今一つ、インパクトを持ち得なかった
ような気がする。
この裁判は実際にあったものだろうが、
そうだとしたら、法曹界の貴重な人材が、
こんな低次元の裁判に時間を取られている
のかと思うと、
人的資源の損失の象徴にも感じる。
それでも、
国会議員が大挙して靖国参拝する日本での
南京大虐殺の有無の裁判や、
大島渚を失った日本の映画界での
南京大虐殺を自戒する映画なんて
夢のまた夢だろうから、
こうした映画化が出来る欧米社会の方が、
まだ健全なような印象を受ける。
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