劇場公開日 2017年12月8日

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「【現代社会でも同様の事が世界のあちこちで起こっている恐ろしさを想起してしまう作品。フェイクニュースが氾濫する今、改めて観るべき作品でもある。】」否定と肯定 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5【現代社会でも同様の事が世界のあちこちで起こっている恐ろしさを想起してしまう作品。フェイクニュースが氾濫する今、改めて観るべき作品でもある。】

2019年8月5日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

幸せ

 原題:DENIAL 否定

 この映画が実際の2000年のロンドン法廷対決に基づいているという点で、まず震撼する。

 「ホロコーストはなかった」と主張するデヴィッド・アーヴィングなるイギリスの歴史家を演じるティモシー・スポールの姿が怖い。

 アーヴィングの否定の背景に、差別意識があるのは劇中の彼の日常生活の中で発せられる言葉からも明らかである。

 同様の事は、2019年の日本でも「言論の自由」(しかし、多くは言論の自由の意味を履き違えている)を盾にして、幾らでも存在する。

 私は学生時代、ジュリストを小脇に抱えていたが、この作品を観るまで、(恥ずかしながら)英国の司法制度の仕組みを知らなかった。この作品では、その点についても詳しく語られ、とても興味深く魅入った。

 又、ホロコースト学者リップシュタットを演じたレイチェル・ワイズ始め、 トム・ウイルキンソン ジャック・ロウデンといった英国俳優達の演技も見事である。

 フェイクニュースが氾濫する現代社会に強いメッセージを発信する社会派映画の秀作だと思う。

<2017年12月8日 劇場にて鑑賞>

NOBU