「余所事じゃない」否定と肯定 hhelibeさんの映画レビュー(感想・評価)
余所事じゃない
「ホロコーストはでっちあげだ」と主張する歴史修正主義者と戦う法廷劇。
いやーほんと余所事じゃないっていう……。
南京事件もだし、慰安婦も捏造って言う人までいるもんね……。
もし裁判官の思想が偏ってたら……ってくだりには背筋が寒くなった。
「人は2回死ぬ。肉体が死んだ時と、生者の記憶から消えた時だ。」
とか言われるけど、歴史修正主義者は虐げられ殺された膨大な人たちの、その存在自体を無かったことにしようとしているわけで、その無慈悲さは国籍とか民族とか関係なく、到底許されるものじゃないだろう。
ホロコースト否定論者のアーヴィングの存在がすごくリアルに感じた。
彼らは自分の主張がデマだなんて微塵も思ってなくて、ただ正しい主張をしていると思ってる。だから裁判に負けてもなお、泰然としている。
彼が裁判に負け、握手を求めてきても無視する姿に多少爽快感を覚えてしまうけど、そんな所で溜飲を下げずにきちんと現実を見つめていきたい。
国や民族間で対立が起こるのは避けられないとしても、命の尊厳を大切にするとか、他の国の人にも敬意を払うとか、苦しんでいる人の気持ちを考えるとか、個人としてそういうふうに思うのが当たり前だよね、とはならないものかなぁ。
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